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元虐められっ子の学園生活
祭の賑わいと解ける緊張
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…」

雪ノ下は顎に手を当ててそう言った。

「それなら投票結果をでっち上げれば良い。どうせ投票数は公表しないんだし」

「その必要は無いぞ」

俺は比企谷の言葉を遮って言う。こんな時のために対処しておいて正解だった。

「投票結果なら俺が知っている」

「どうして知っているの?あの用紙は一枚しかないはずだし、相模さんに一任された筈なのに…」

「チラ見しただけだ。アイツが見ているのを後ろから確認しただけ。
今の今まで職務放棄をしてきた人間を信用できないからな」

「……では代役を雪ノ下に頼む。その後の進行は城廻と合同で行ってくれ」

平塚先生の言葉に全員が頷く。

「どうかした?」

不意に、舞台袖に現れた葉山が会話に入ってきた。

「何でもねぇよクソッタレ。
さっさと準備してステージ上がれ」

「お前には聞いてないよ。雪ノ下さん、どうかした?」

「……ちっ。
比企谷、とりあえずあの女を探す。ふたてに別れて散策し、時間ギリギリで連絡を取り合おう」

「わかった」

俺と比企谷は外へと向かう。このままだと葉山が介入するのは目に見えて分かる。そうなる前に見つけ出せれば良いが…。






「……さて、何処にいるかね?」

俺は比企谷と別れ、三階の廊下にいた。ああいう奴が行きそうな場所なんてのは少数に限られてくるわけだが、時間のない今、そんなに回ってもいられない。

「あれ?九十九?」

「沙紀さん…そうだ。沙紀さんは一人になりたいとき、何処か適応した場所ってある?」

ふと声の聞こえた方を振り替えると沙紀さんが立っていた。

「どうしたの急に………そうだね、特別棟の屋上かな。彼処人気ないから」

特別棟…時間も間に合うな。

「ありがとう!」

「あ、ちょ!」

俺は走り出した。
もしかしたら比企谷も向かっているだろうが、そこに葉山がいれば連れ戻すことは必至。そうなればアイツは反省もしなければ失敗も思わないだろう。
ただ楽をして、その場を乗りきってしまうのは俺達の努力を皆無にしてしまうのはわかりきっている。

「間に合ってくれよ!」

そう吐き捨てて、俺は全力で階段を掛け上がるのだった。









「―――お―――だろ―――!」

バタンッ!

俺は目的の場所へ到着し、勢いよく扉を開けた。
そこには予想通り、相模がおり、その他戦力外な実行委員二人がいた。
そこから目線を左に向ければ、葉山が比企谷の胸ぐらを掴んで壁に押し付けていた。

「んのやろぉ!!」

それを見た瞬間に葉山の顔面に右ストレートを撃ち込んで比企谷から引き離した。

「葉山君!」
「葉山君大丈夫?!」


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