第155話
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。」
三度目のため息を吐く。
今までより深いため息だ。
そして。
麻生が手に持っている刀が塵になって消えた。
さらに右手をブリジットの肺から引き抜く。
ブリジットの右胸に穴が空いている筈なのにそれが綺麗さっぱりなくなっている。
切断された右手も元に戻っていた。
何が起こっているのか全く分からなかったが、ただ一つ分かった事がある。
麻生はこの男を殺すのをやめたという事だ。
それが分かった三人は安堵の表情をする。
濡れた路面に落ちている魔道書を回収する時にブリジットは麻生にしか聞こえない声で言う。
「甘すぎるぞ、星の守護者。」
「確かに反吐が出るくらいに甘いな。
それでも俺はあいつらの悲しい表情は見たくないんでな。
それに人を殺さないという約束もある。」
「そういう事を言っているんじゃねぇよ。」
なに?、とブリジットに視線を向ける。
意味深な発言をしたブリジットは含むような笑みを浮かべる。
「そんなんじゃあ、教皇様おろか幹部様にも勝てない。
力の扱い方を全く知らない、人を殺すのに他人の意見を優先にする。
お前は勝てない、我々には絶対に。」
そう言ってブリジットは気絶する。
既に彼の身体は麻生の能力で限界まで作り変えている。
魔術回路を無くして魔術師ではなくした。
今のこの男は魔術師でも何でもないただの男だ。
愛穂は気絶しているブリジットに手錠をかける。
「そいつどうするつもりだ。」
「とりあえず、豚箱にぶち込むじゃん。」
危機は脱したのを感じて愛穂の調子も元に戻りつつあった。
ふと、見上げるとあの光はどこかに消えていた。
どうやらあちら側も無事に解決したらしい。
ヴェントはどうなっているかは分からない。
だが、風斬と打ち止めは助かったのは間違いないだろう。
「あ、あの・・・麻生。」
「どうした?」
制理が何やら言いにくそうな顔をしながら麻生に話しかける。
麻生は知らないが既に制理の中ではあの時の少年と麻生は完全に同一人物である事に気がついている。
つまり、麻生に恋をしている制理は何をどう話せばいいのか困っている。
何も話していないのに慌てふためく制理に麻生は彼女の頭に手を乗せる。
「ともかく、一件落着だな。」
「あっ・・・・うん。」
慌てる必要はない。
麻生とは同じ学校なのだからいつでも話す事ができる。
「さっきの光、無くなっているわね。」
桔梗は気になった事を口にする。
「あの子、無事かしら。」
あの子と言うのは一方通行の事だろう。
重要参考人として顔写真は警備員の間で既に出回っている筈だ。
今はそのほとんどが麻痺しているが
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