1・始まり
Encounter
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キリトたちが見上げた先にいたのは、深紅のローブに身を包んだ巨大なアバターだった。
それは、かつてキリトたちが閉じ込められたデスゲーム―ソードアート・オンライン―の始まりの街でキリトたちの前に現れたものと同じだった。
「どういう……ことだ……?」
キリトが呟く。
「あれって、あの時の……?」
「恐らくね」
「ですね」
アスナに、リズとシリカが頷く。
「ね、ねえ、お兄ちゃん。あれって何?」
リーファがキリトに聞いた。
キリトは、巨大なアバターを見つめたまま、リーファの問いに答えた。
「あれは、俺たちをSAOに閉じ込めた茅場晶彦が初めて、ゲーム内に出てきた姿だ」
キリトの答えに、リーファとシノンの顔が強ばる。
「そんな……だって、茅場は死んだはずでしょ!?」
リズが叫ぶ。
「そのはずだ。だけど……」
「ねぇ、キリトくん」
「なんだ、アスナ?」
「あれ、何をしてるのかな?」
アスナの言葉に、キリトたちは再び空を見上げる。
「まさか!?」
ふいに、キリトが自分のウインドウを開く。
「どうしたの?」
キリトは両眼を見開いて、アスナたちに告げた。
「ログアウトボタンが……ない……」
「え?」
アスナは、キリトの言葉を瞬時に理解しなかった。
それはアスナだけではなかった。
他のメンバーもそうだった。
「まじかよ!?」
クラインがウインドウを見つめて言った。
「本当にねえぞ!?」
それが、周囲のプレイヤーに伝わり、軽いパニックに陥る。
「どういうことだ?」
「ログアウトボタンがない?」
「本当だ!?」
このような声があちこちから聞こえてくる。
「キリトくん……これって……」
キリトはアスナに人差し指を立てた。
そして「すぐに説明してくれるさ」と上空に佇むアバターを睨んで言った。
『我が名はクロノス、この世界において唯一の神であり、最後の試練である』
「クロ……ノス……?」
「それって、ギリシャ神話の?」
クロノスはキリトたちを見下ろして言った。
『これより、デスゲームを始める。かつての事件を繰り返すのだ。そのため、ログアウトボタンを消させてもらった』
「ふざけるな!どうして、あの事件を繰り返すんだ!」
キリトが叫ぶ。
「そうよ!あれで何人もの人が悲しんだと思ってるの!?」
キリトに続いて、アスナが叫ぶ。
『我は退屈が苦手なのだ。小さき戦士たちよ、ぜひとも楽しませておくれ。くれぐれも死ぬことのないようにな』
クロノスが話しながら、右手で何かを操作する素振りを見せた。
すると、全プレイヤーのアイテムボックスにアイテムが届いた。
それは認識票だった。
『それは汝らのことが書いてあるものじゃ。それによって、かつての戦いの記憶を取り戻すが
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