英雄との鍛錬
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で、詳細は雷鋼・徹、いずれの仲魔達にも教えていない。彼らと卜部が知っているのは、徹が『ペルソナ』という異能の切り札をもっているということだけだ。
「その解決策と考えた結果が、今の拳打、そして掌底の正体だ。ペルソナを自身の肉体に憑依させる形で召喚し、自身の肉体を持ってペルソナの持つスキルを発現させる。そうだな『憑依召喚』とでも呼ぼうか」
「憑依召喚とな。なるほど、坊も考えたものだな。して、その腕はなぜだ?」
「憑依召喚は、いわば意図的にペルソナを自身の体内で暴走させるようなものだ。それに顕現したペルソナだからできるスキルであって、俺の肉体では本来できないものだからな。それを無理やり体現するのだから、この程度の代償は当然だろうさ」
「そうか……。坊、今後それを鍛錬で使用することを禁ずる。いくら魔法で治るといっても、坊は未だに体ができていない。まだまだ成長するのだ。それを阻害するようなものは、仮にも師として許すことはできん。それに……」
「それに?」
「たとえ一部であっても、自身を犠牲にするような捨て身の技を切り札とは認めぬ。切り札とするなら、敵を必殺することは勿論、自身すら守ってみせよ!」
「承知!……と言いたいどころだけどさ、いい加減に治療させてもらえないか?いくらなんでも死ぬ……ゴホッ」
実は串刺しにされたまま話していた悪魔と少年。辛うじて即死は避けたといえ、その傷は致命傷以外の何ものでもない。放っておけば、遠からず徹は死ぬだろう。
「おう、忘れておったわ。すまんな、許せよ」
悪びれない李書文は、速やかに槍を引き抜いた。当然、風穴があいた徹の体がえらいことになりかけるが、そこに慌てた様子で西王母が現れる。
「ディアラハン!忘れておったですむか、この戯け者が!」
一瞬の内に風穴がふさがり、全身の傷が癒えると共にある程度の血液も補填されるが、さしもの徹も瞬間的な大量の出血に意識が薄れるのを感じた。薄れゆく意識とともに狭まる視界に映ったのは、怒り心頭の死の女神と正座させられる中華の大英雄の姿であった。
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