英雄との鍛錬
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は渾身の一撃にも関わらず、あまりの手応えのなさに愕然とした。
「直撃したはずなのに、この手応えのなさは……?いなされたのか、いや、なんというか力が拡散した?」
「うむ、正解よ」
短い返答共に突きこまれる槍。死角から、神速でなされたそれを僅かとはいえ脱力していた徹に避ける術はない。横腹を綺麗に串刺しにされて、血反吐を吐く徹。
「ゴフッ。畜生、やっぱりかよ……」
「先の拳打は見事であったが、まだまだ功夫が足りんな。敵を完全に討ち滅ぼすまで、気を抜くでない。ましてや、必殺の確信もないのに脱力するなどもってのほかよ」
「流石にあれが無効化されるとか思うわけねえだろ……。腕一本犠牲にした乾坤一擲の一撃だったんだぜ」
そういう徹の右腕は外見こそ傷ひとつないが、力なく垂れ下がっていることから見れば、その内部がどうなっているかは容易に想像できる。
「なるほど、それゆえの脱力か。だが、甘い。それで仕留められねんば何も意味はない。たとえ乾坤一擲の賭けであったとしても、それで結果を出さねば何の意味もないのだからな。
しかし、先の拳打、どういう術理で撃った。今のお前では、腕一本を代償にしたとしても、どうあがいても出せるはずのないものであった」
「別に大したものじゃない。当然、種はあるさ。種は、俺の切り札『ペルソナ』さ」
「ペルソナ?あれは顕現して扱うものだろう。見る限り顕現したようには見えなかったが」
「ああ、顕現はしてないさ。なにせ召喚したのは自身の内にだからな」
「自身の内にだと?」
「ああ、前々から考えていたことだ。ペルソナは強力な異能だが、ある一点どうしようもない致命的な弱点がある。それはいかに召喚速度をあげても、顕現したペルソナがスキルを放つまで必ず多少なりともタイムラグが生じることだ。無論、顕現しっぱなしにすることで克服することができる弱点だから、長時間顕現させたまま保持する訓練はしている。だが、正直デメリットが大きい方法だ。ペルソナを人目に晒すことになるし、その操作にかまけて自身の動きが緩慢になる危険もあるからな」
この世界において、自身の『ペルソナ』能力は秘匿するべきだと徹は考えていた。なぜなら、彼のペルソナはこの世界本来のペルソナとは異なるからだ。そして、あまりにも異質で強力な能力であったからだ。そういう意味で、この能力を得て、普通に生活を遅れた『PERSONA』『PERSONA2』の主人公達を徹は心から尊敬する。もし、自分が雷鋼の鍛錬を受けていなかったら、何より透夜を代償にしたものでなければ、能力を鼻にかけ驕り高ぶっていたろう未来が予想できたからだ。
ゆえに、徹のペルソナ能力を知る者は殆どいない。その全容を知るのは、雷鋼と本人である徹だけ
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