第一章
[2]次話
A型メランコリー
私の血液型はA型だ、それでよくこう言われる。
「あんた几帳面で真面目でね」
「本当にA型よね」
「根っからのA型気質ね」
「わかりやすいわ」
友達にもこう言われてだ、そしてだった。
彼氏にもだ、笑顔でこう言われるのだった。
「御前も俺もA型でな」
「それで、っていうのね」
「ああ、いつもな」
「真面目なデートっていうのね」
「そうなってるよな」
学校の帰り道でこう言われた。
「いつもな」
「まあそうね」
私は特に悪く思うこともなく彼氏に言葉を返すのが常だった。
「実際に私もあんたもA型だしね」
「それでな」
「デートもその他のことも」
「御前あれだろ、デートマニュアル読んでるだろ」
「ええ、読んでるわよ」
その通りだった、まさに。
「いつもね」
「俺もだよ」
「そのせいでね」
「お互いな」
「そうね、決まりきったっていうか」
「悪く言えばワンパターンか」
「そうした感じよね」
自分から言う私だった。
「本当に」
「そうだよな、まあそれもな」
「それも?」
「悪くないよな」
やはり笑って言う彼だった。
「こうしたのも」
「そうね、お互いに不愉快にならないのなら」
それならだった。
「いいわよね」
「それでな」
「ええ、ただ」
「ただ?」
「あんた最近」
「俺か」
「そう、結構型を破ろうってしてるわよね」
これは血液型のことではない。
「ワンパターンからね」
「そうなんだよ、やっぱりいつも決まりきった流れってな」
「飽きるから」
「それでなんだよ、だからな」
「だから?」
「今度のデートな」
日曜にと二人で考えているそれもだった。
「俺達いつもテーマパークとか映画館とかショッピングとかな」
「そうした場所に行ってるけれど、っていうのね」
「他の場所行かないか?」
「具体的には何処?」
「プールとかどうだよ」
これが彼の提案だった。
「そうした場所な」
「プールね」
「ああ、どうだよ」
「それってつまりは」
プールと聞いてすぐにわかった、そこに行くということは。
「水着になれっていうのね」
「ああ、どうだよ」
「私の水着姿も見たいのね」
「目的の第一がそれって言ったら怒るよな」
「普通にね、けれどね」
これもだった。
「ここで怒るのもね」
「定番だよな」
「凄いお約束の流れよ」
決まりきっただ、それこそ。
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