マブラヴ
ゲート 自衛隊彼の地にて、斯く戦えり
0934話
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街道をそっちに向かっているのを見て分からないか? イタリカからアルヌスの丘まで戻るところだ」
そう告げた、その瞬間。騎士団が厳しい表情を浮かべてこちらに剣や騎兵槍といった持っていた武器を突きつける。
……ほう。
「貴様等、帝国を散々愚弄した異世界の軍の者か!」
「そうだが? それがどうした? 俺達の戦力は知っている筈だな? それを承知の上での敵対行為と考えてもいいのか?」
「ふざけるなっ! 空飛ぶ剣を持っていないお前達など、精鋭たる私達の敵ではない!」
なるほど。この金髪縦ロールは自分達の戦力に絶対の自信を持っていると。
その割に頭の回転は残念だが……まぁ、いい。俺達と敵対するというのなら、存分にそれを後悔させてやるだけだ。
「ムウ、この映像を録画しておけ」
「おい、こんな場所で騒ぎを起こしてもいいのかよ?」
「向こうが自分から失態を犯してくれるというんだ。後々こっちが有利になる駄目押しの証拠になるだろ」
そんな風にムウと話をしていると、ガンッ、とエアカーの扉を騎兵槍の先端で殴られる。
本当は蹴ったりしたかったんだろうが、このエアカーはトラック型だ。その分運転席も高いところにある為にそんな真似は出来なかったのだろう。
「いいな? きちんと映像を録画しておけよ」
それだけをムウに告げ、エアカーから降りる。
「で、俺達がアルヌスの丘の部隊だとしたらどうする?」
「降伏しなさい」
スルリ、とショートカットの女が抜いた剣をこっちに突きつける。
視線をムウの方へと向けると、通信機を使ってこちらの様子を録画しているのが分かった。
「一応言っておくが、俺達はイタリカでピニャと条約を結んでいる。それでも態度を変えないか?」
一応親切で告げたのだが、それは寧ろ相手の怒りを煽る結果となる。
「ピニャ様を呼び捨てにするなどっ!」
そう告げ、ショートカットの女が俺に向かって剣を振るう。
その一撃を回避もせず、防御もせず、ただ黙って受け入れ……次の瞬間、俺の肩へと振り下ろされた剣は白炎と化した俺の身体を通り過ぎて地面へと叩きつけられる。
へぇ、一応殺そうとはしなかったのか。だが……これは決定的だったな。
「ムウ」
「あいよ。問題ない。全部録画してある」
「分かった、先に戻ってろ。俺は用事を済ませてから影のゲートで戻るから」
これからの光景は、テュカには……そして高畑も見て楽しいものじゃないしな。
その言葉でここがどんな風になるのかを理解したのだろう。小さく溜息を吐いてやり過ぎるなよ、と告げたムウがエアカーを運転して去って行く。
それを理解しつつも、騎士達はたった今見た光景を信じられないのか、特に何を起こすでもなく呆然としていた。
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