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神葬世界×ゴスペル・デイ
第一物語・前半-未来会議編-
第五章 覇王の会議《3》
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鳴は焦り、動揺したように少し動いた。
「わ、私は……」
「奏鳴様、お気になさらず」
「俺は長さんの言葉が聞きたいの。なあ、委伊達・奏鳴――」
 机の上から、彼女に向かって言う。
 これが人生初の告白だ。
「俺と付き合わね?」
 この言葉に周囲は固まった。
 言われた本人も同じだが、予想外のことなのでどう対処したらいいのか分からない。
「っな!?」
 この“な”には意味は無い。
 ただ何か言わなければと思い、準備が整う前に漏れてしまった声だ。
 告白されたのか? わ、私が? 会ってまだ数分という短い時間で告白? 駄目だ、告白されたのは初めてだから、どうしたらいいのか分からない。
 セーランの言葉に彼女の顔が赤くなる。
 今までじっとしていたが、思いがけない言葉を掛けられたためにもじもじし始めた。
 赤面している奏鳴の両の耳の上から、青の光を帯びてそれぞれ一本の角が現れた。
 竜の角のようにも見えるが、角の形をした結晶のようにも見える。
「つ、角が生えてきた!? どうなってんだ?」
「これは生えてきたんじゃない」
「見た感じ流魔の角、でいいのか。生えてきたんじゃないなら現れた、だな」
「物分かりがいいな」
 彼女は角をいじりながら、日来の長と会話をする。
 彼が笑いながら話していたので、彼女も自然と頬を上げる。
 悪い奴には見えないが、なんだろう。彼だけ、周りの者とは何かが違う気がする。
 何かは分からないが、そう感じる。
 自分も周りとは違うからだろうか、と一人思っていたところに実之芽の声が聞こえた。
「奏鳴様、これからの敵に会話など無用です」
「あ、す、すまない……」
 何処か落ち込むように暗い表情を見せた奏鳴。
 セーランはその様子を黙って、何かを感じるように見ていた。
「学長、そろそろ行きましょう。これ以上はここにいても意味がありません」
「それもそうね。それじゃあ私達は行くよ、交わる時にでもまた会おうかしらね」
「おう。まあ、その時は色々と面倒臭くなってるだろうけど、これからも楽しくやってこう」
 昔馴染みの友である榊と蓮は言葉を交え、さよならの挨拶とした。
 その会話を、呑気なもんだ、とタメナシが言った。
 蓮やタメナシ、明子と呼ばれていた学勢は榊と咲にお辞儀をして、宇天覇王会と合流するためにこの場から離れる。
 榊は腕を伸ばし、緊張が解けたように大きくあくびを一つした。
 そんな榊に向かい、咲は過去を振り返るように言う。
「会議、終わってしまいましたね」
「そうだね。結果、喧嘩吹っ掛けただけだったけど」
「これからどうなるか分からないのに、あまりにも落ち着いている自分が怖いくらいですよ」
「ははは、それだけ成長したってことだね。いいことだ」
 笑う榊に咲も笑いながら
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