第21話 She is Rana Linchen 5
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頭の中に膨大な量の情報が流れ込んでくる。戦闘知識。ノヴァの生態。パンドラの戦い方。etcetc……
だが、何よりも強く響いてくるのは、ただ単純な命令。
ーパンドラを殲滅しろ。
「クッソが??」
飲み込まれてなるものか。その一心で、クラディウスの剣先を向ける。狙うは、自らの腹部だ。
ズブリと肉を貫く音と、激痛が同時に襲ってくる。内臓を貫き、痛みと熱が断続的に体を駆け抜ける。
そこまでしても、頭に響くのは一つの命令ただ一つ。ふざけるなふざけるなふざけるな??
「俺は、俺は……」
そこで、カズトの意識は途絶えた。後のことは、よく覚えていない。
覚えているのは、意識が途絶えるギリギリまで、命令が鳴り響いていることだけだった。
三人の心中を支配していたのは、恐怖と驚愕。それもそうだろう。
つい数秒前まで自分たちを圧倒していた人物が、突然苦しみ出し、しかも自らの腹部を長剣で貫いたのだ。
だが、これは逆にチャンスでもある。
この男は危険だ。これ以上サテライザーを強くするわけにはいかない。
ならば、今ここで再起不能に……………
「させると思っているのでありますか?」
カズトを狙っていた刃が、一閃の拳によって、叩き壊された。
「なっ!」
「貴方方の負けであります。これ以上は蛇足であります。」
民族衣装に身を包んだ美しい少女。ボルトウエポンが、その少女の唯の拳によって殴り壊されたのだ。
「どうしても、と言うのなら…」
そして、少女、ラナ・リンチェンは立ち上がり、拳を構える。
「クンルンの名において、私が相手になるであります??」
****************
トントントントン……………………
サテライザーの部屋に、小さいながらもイラつきを隠さない音が鳴り続ける。
発生源はもちろん、この部屋の主だ。
理由は簡単。カズトが来ないからだ。
「もう一時間も経ってるのに……なにやってるのよ……」
現在八時過ぎ。この部屋に来るようにお願いしたのは、七時。おめかしもした。掃除もした。料理だって自分で作った。
なのに来ない。
「もしかして…………」
振られた?
そんな予感が頭をよぎる。いやいや、落ち着け私。そもそも私とカズトは付き合ってるわけではなく、あくまで、あくまで、リミッターとパンドラという関係であって…………
ツラツラと頭の中で言い訳を並べていた時だ。扉がノックされ、ドクンッと鼓動が跳ね上がる。きっとカズトだ。
今の自分はどんな顔なのだろう?
少し怒っている顔?
来てくれて安心している顔?
どちらでもいい。とにかく今は彼にお小言の一つでも言ってやらなければ。
なるべく不機嫌そうな
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