鴉
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「くそ……くそぉっ!! また、あの屈辱の中に戻されてたまるか……! 返せ……『SEED』を返しやがれぇええ!!」
カァー、カァー。
カァーカァー! カァー!!
「な、カラスだと!? 一体どこから……ぐわぁああああ!!!?」
『俺の魂はこいつらと同化し、自然に還った! だがな、科学に染まったおまえの肉体が自然に還る事は無いッ!!』
よくわからないが、俺には見えていないカラスの大群の幻覚に襲われて、ゲイザーが悲鳴を上げていた。そして……聴覚とは違う場所から、聞いた事の無い男の声が聞こえた気がした。一体誰なのかわからないが、少なくともその男から誇りが感じられた。ゲイザーと違い、戦士の誇りを持った男……俺はそれがバルカン・レイブンだったのではないかと思った。
しばらく幻覚のカラスを追い払おうと手を振るって暴れていたゲイザーだが、やがて白目をむいて倒れ、意識を失った。一応生きているようだが、目を覚ましても話せるような精神状態ではないだろうな。このまま放っておこう。
周波数140.85からCALL。
『まさか本当に殺さずに済ませるとは……あなたは相変わらず、私の想像を超えていきますわね』
「驚いてもらえて何よりだ。ところで俺が握りつぶした物体だが……もしやコレが『SEED』なんじゃないか?」
『なるほど……他者の遺伝子を組み込み、体内に埋め込む事でその人物の力を手に入れるドーピングの極みとも言える装置、それがSEEDだったのですね。しかし取り外されると幻覚を見せる辺り、副作用は酷いものなのでしょう。それにしても、アレクトロ社がこれを作った意図は一体何なのでしょうね?』
『……そう、そういう事だったのね。私にプロジェクトFATEの研究を完成させた理由、後付のSEEDというドーピング装置の開発、大体繋がってきたわ』
『プレシアさん、何か思い付いたのですか?』
『ええ。実用例がゲイザーの物だけだからまだ推測に留まるけど、SEEDにはリンカーコアまでコピーする性質は無い様に見えたわ。でもそれ以外はほとんど完璧にコピー出来ていた。これとプロジェクトFATEを組み合わせれば確かに、強力な魔導師を容易く量産出来てしまうわね』
「プレシア、もっと具体的に説明してくれないか?」
『要するにフェイトを見ればわかるけど、プロジェクトFATEで生み出したクローンは上手くやればオリジナルより強力なリンカーコアを生み出せる。でもクローンは普通の子供と同じく赤ちゃんの姿で生み出されるわけだから、まともに戦えるようにするには成長する期間や鍛える手間が必要だし、これだけでエース級魔導師を量産するには明らかに非効率的なのよ。でも組み込むだけで熟練の戦士と同じ力を得られるSEEDを使えば、クローンは生まれながら
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