鴉
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のシリンダーが次々と割れ、中身の物体から流れ出る血で床が赤く濡れていった。それはあまりにグロテクスな光景で、普通の人間が見たら嗚咽を漏らすだろう。
奴が癇癪を起こして暴れているのを物陰から伺いながら、俺は対策を講じる。
「ふむ……結構斬ったはずだが、ダメージが効いてるようには見えないな。アドレナリンでも過剰投与して痛覚を遮断しているのか?」
周波数140.85からCALL。
『サバタ。ゲイザーの体内から微弱ですが、奇妙な魔力反応を確認しました。もしかしたらそれが彼に何らかの影響を与えているのかもしれません』
「体内だと? エレン、それはどの辺りだ?」
『心臓のすぐ近くです。ただ、そんな所にある物を取り出すも破壊するも、どちらを実行するにしても彼を大人しくさせられない現状では、どうしても彼を殺さざるを得ません。管理局員としてだけでなく、あなたの古い友人として、あなたが殺人を犯す事はどうしても許容できません。サバタ、彼との戦いは避けて、急ぎそこから撤退して下さい!』
「断る」
『え?』
「確かに物理的に体内にある物体をどうにかしようとすれば、それは致命傷となって奴を殺すだろう。だがな、奴の力の根源の位置がわかった以上、俺なら奴を殺さずに無力化出来る」
『どうやってですか!? あなたの暗黒の力は、明らかに殺傷能力に特化しています。その力では余計……!』
「フッ……特等席で見ていろ、エレン。こちら側に来て新たな戦い方を身に付けた俺に、この程度は何の障害にもならん!」
無線を切った俺は今なお乱射を続けているゲイザーに向かい、ゼロシフトで駆け抜ける。俺の姿を見つけたゲイザーはこちらに銃口を向け、バルカン砲をとにかく発射してくるが、ゼロシフトを使っている俺にそんなものは当たらない。ヤツの目が驚愕に彩られた直後、俺はゲイザーの胴体に打技黒掌を放ち、たたらを踏ませる。
「うぉぉぉぉおおお!!! 暗黒転移ッ!!!」
「な、何ィッ!!?」
そのままゲイザーの胸に暗黒転移を応用させて発生させたゲートに左手を突っ込み、心臓のすぐ隣にある“ターゲット”だけを抜き取り、握りつぶす!
「ば、馬鹿なッ!? 力が抜け……うがぁあああああ!!!?」
「力の源を失い、おまえは元の状態に戻る……。バルカン・レイブンの力はもう、おまえの物ではないッ!」
シャマルの“旅の扉”や、闇の書の“蒐集”の真似が出来る俺だからこそ、コイツを殺さずに“ターゲット”だけを破壊する事が可能だった。その論理で行けば、シャマルやはやて、ネロも同じ事が出来るはずだが……恐らく俺の中にあるナハトの一部から、密かに感じられる意思の一つも可能に違いない。要するにリンカーコアを直接攻撃できるならば、“ターゲット”も抜き取れる訳だ。
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