鴉
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『これは……そういう事ですか。SEEDの使い方、薄らと見えてきましたわ』
「エレン、説明してくれ」
『プレシアさんによると、そこはプロジェクトFATEの実験施設のようです。ただし、アレクトロ社が進めていた方の、と付きますが』
「?」
『ここからは私の推測なのですが……アレクトロ社はプロジェクトFATEを最初は自分達で開発しようとして上手くいかず、生半可な方法ではいつまで経っても実績が立たない事からプレシアさんに開発させるように仕向けたのかもしれません。わざとあの事故を引き起こし、優秀な研究者であるプレシアさんに独自で開発させることで、経費や人員などを自分達が提供することなく、より優秀で完璧なクローンを生み出そうとした訳です』
「つまりアレクトロ社は、プロジェクトFATEの開発をプレシアに全て押し付けた訳か。愛娘を事故に巻き込ませ、狂気に憑りつかれた彼女ならいつの日にか完成させると判断し、自分達は漁夫の利を得るがのごとく待ち構えていたと……」
『恐らくは。そして現在、その成果を手に入れようとしてこの裁判を利用しているのでしょう。また、一方のプロジェクトに費用を回さなくても良くなった結果、自分達はその後に使うSEEDの開発に全力を注げたのですわ』
「となると、SEEDはプロジェクトFATEがあって初めて活用できる装置なのか?」
『いえ、それだとプロジェクトFATEが完成するまで実験データを手にする事ができません。確かに主な使用法はそうなのかもしれませんが、きっとデータを手に入れられるように他の活用法も用意しているでしょう』
「そうか……。ところで彼女達の様子はどうだ?」
『察しの通り、プレシアさんは全て利用されていた怒りでひどく荒れ狂っていますわ。フェイトさん達が必死になだめていますが、落ち着くまで時間が必要でしょう』
「だろうな。ひとまず俺は部屋に降りてみる、SEEDに関する資料が残っているかもしれない」
『わかりました。くれぐれも気を付けてください、何か嫌な予感がします』
「フッ……悪運にはもう慣れたさ」
通信切断。俺は緩くなっていた金網を外し、ダクトからぶら下がって降り立つ。吐き気を催す光景を横目に、俺はこの部屋の内部を探索していく。と、その時、近くでかなりの重量物体が持ち上げられたような、妙な空気の張りを感じた。麻酔銃ではなく、暗黒剣を構えて突発的事態に対応できるように身構える。
ドゥルルルルルルルルルッッ!!
重厚な発射音が聞こえた刹那、ゼロシフトで咄嗟に物陰に飛び込んで身を伏せる。すると直後、さっきまで俺がいた場所に凄まじい量の銃弾痕が抉れるように刻み付けられていった。というかふざけるなよ……あの銃弾、F-16の機銃に使われている20ミリバルカン砲じゃない
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