鴉
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2階にそれぞれ一ヵ所、内部に入るならどちらでも構わないだろう。だが隠密性を要求するなら、2階から入った方が良い。となると2階に上がる階段を警備している見張りが邪魔だな……。
俺はベルトからベレッタM92F、麻酔銃を取り出して照準を見張りの首筋に合わせる。少し距離があるから正確、かつ慎重に狙う。この銃はスライドロックがされているから、面倒だが一発ごとに補填が必要だ。レーザーポインターも付いているから照準は合わせやすいし、麻酔もある意味あの病院の殺人鬼幽霊のお墨付きで、アフリカゾウもぶっ倒れる代物だ。打たれたら任務中はまず起きる事無く、眠りについてもらえるだろう。
ピシュンッ!
「うっ……」
上手く命中したようで、見張りは瞬く間に倒れ、力なく眠りについた。周りが気付く前に俺はそそくさと移動、壁に張り付いて監視カメラの死角をつき、階段を上って眠っている見張りを越え、2階の通気ダクトへ潜り込んだ。
外は厳重でも中はザルだな……やはり次元世界にスパイや諜報員の概念は薄いのだろう。地球の特殊部隊が本気で攻めてきたら、管理局すらも情報戦で負けるんじゃないか? まあ、エレン達ラジエルクルーがいるから大丈夫だとは思うが、他の連中は足の引っ張り合いで自滅したりしないよな?
それは置いといて、ホフクで進んでいくと途中にある金網で施設内部が見渡せた。ここじゃ降りる事は出来ないが、様子を見る事は可能だろう。
「―――どうした? 随分下が騒がしいが」
「ああ、侵入者らしい。8人もやられた」
「8人!? 一体誰がやらかしたんだ?」
「わからない……だけど俺の知り合いの情報によると、仮面をつけた2人組だそうだ。相当の手練れらしい。非殺傷設定は情けでかけられていたけど、しばらくは動けないそうだ」
「なるほど、とにかく警戒を強めるぞ。アレがある地下2階に侵入される訳にはいかないからな」
「ああ、確か“試作品”があるんだったな。いくら何でもあんな風にされるのは、俺も絶対嫌だな」
「全くだ、あんな光景を見ちまうと流石に同情したくなる。ところでここだけの話だが、26年前のヒュードラの事故、あれって実は社長が仕組んでたって話だぜ?」
「え、マジかよ!? うちの社長には敵わないぜ。一大プロジェクトをわざわざ踏み台にするとは、ただの平の俺じゃあ社長の考えなんて、想像もつかないんだろうなぁ」
「そうだな。さて、そろそろ警備に戻ろう。社長にばれたらクビになるどころじゃ済まないぞ」
武装社員は会話を終えて警備を再開したが………なんか、凄い情報を聞いてしまった気がする。
周波数147.79からCALLが入った。
『26年前のヒュードラ事故、私からアリシアを……全てを奪ったあの事故。あれが仕組まれてたというの
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