四十九話:Good bye my world
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アスは改めて王というものの辛さを感じとる。だがそんなことなどルドガーにとってはどうでもよかった。彼は何も好き好んで世界を壊してきたわけではない。やらされてきたのだ。選ばされてきたのだ。彼等は自分の意志でついてきたが自分は違う。そうするしか方法がなかったから壊してきたのだ。
『嫌だ! 嫌だ! 嫌だっ! 嫌だっ!!』
『ルドガー……』
『何だよ…っ。全部お前らの勝手な都合じゃないか! 精霊なんて道具にでも何でもなればいいだろ! 世界はビズリーにでも救わせればいいっ!!』
『それが君の選択なのだな、ルドガー?』
ジュードの手を弾いてそう叫ぶルドガーに黒歌は彼の本質を見出す。彼はあくまでも全よりも個を優先させる人間なのだ。自分の大切な者がいれば他のことなどどうでもいいという自己中心的とも言える醜さも彼の一部なのだ。
だが、それを知っても彼女は彼に減滅などしなかった。彼は全の事などどうでもいいと言う代わりに、個を守る為なら全てを投げ出せることを彼女は身をもって知っていた。そんな彼だからこそ彼女は彼を愛しているのである。
『俺には……できないっっ!』
『家に帰れ、ルドガー。やっぱりお前には無理だったんだ。
けど、俺は、そんなお前が―――ぐああああっ!!』
優しげな声でルドガーにまるで自分を犠牲に出来ない優しいお前が好きだとばかりに話しかけるユリウスだったが、時歪の因子化が進行し、苦しげな声を上げてさらにルドガーにもたれかかる。だが、それでもルドガーはずっと自分を守ってくれて、ずっと傷ついていた兄を殺す選択など出来なかった。
『すまん……手をわずらわせることになった』
『俺がやる』
ユリウスにはもう、自分で自害する体力すら残っていなかった。その為に自分を殺すようにジュード達に頼む。そしてガイアスが長刀を抜き放ち、自分がユリウスを殺すと言う。汚れ仕事を自ら買ってでたガイアスをジュードが止めようとするがガイアスは止まらない。
『やめてくれ! やめてくれ!』
『……許しは請わん。俺達はこの世界の為にカナンの地へ辿り着かねばならないのだ』
悲鳴を上げながら、やめてくれと頼むルドガーにガイアスは心を鬼にしてこの世界の為だと言う。だが、ルドガーにとってはそんなことは言い訳にしか聞こえなかった。綺麗事を並べ立てているが結局は自分の望む世界が欲しいということだ。それが誰の為であろうとエゴであることには変わりがない。なら―――俺は俺のエゴを貫いてもいいじゃないか。
『兄さんを守る! うあああーーーーっ!!』
叫び声を上げて、ユリウスと共に立ち上がるルドガー。そして何かを決心したルドガーの顔に黒歌達はゾッとする。なぜ
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