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ルドガーinD×D (改)
四十九話:Good bye my world
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罪を背負っているのであれば気遣うのではなく共に苦しんでいなければおかしい。だが、彼等にはいつもルドガーを気遣う“余裕”があった。心をすり減らし、必死に泣き出したいのを堪えてきたルドガーと同じ罪を背負っているはずなのに。何故か。それは彼等が心の隅では世界を壊しているのはルドガーであって自分ではないと思っていたからである。

だからこそ、ルドガーは今、彼等に本当の意味で世界を壊すという重みを突きつけたのである。そしてその重みに打ち勝つにはエゴを貫き通すしかない。この戦いはお互いのエゴとエゴのぶつかり合いである。それに気づけなければジュード達に勝ち目はない。


『それが君の決断か』

『ああ、そうだよ、“マクスウェル”。こんな腐った世界の為に兄さんを犠牲にする気はない!』


ルドガーはこの歪んだ世界に兄を犠牲にしてまで救うほど価値があるとは到底思えなかった。精霊など、死んだ方が余程いい世界になるのではないかと思う始末だ。そして、彼はもう、こんなふざけた世界にしたマクスウェルであるミラ=マクスウェルをミラと呼ぶ気はなかった。彼のミラは“ミラ”だけなのだから。最後の最後に僅かに仲間への情を込めた視線を向けた後、殺意の籠った眼でかつて(・・・)の仲間達を殺しにかかる。





『お前は……俺なんかのために、すべてを捨てたのか?』


仲間達の死体が転がり辺りが赤く染まっている中、返り血がついた双剣を手に背を向けるルドガーにユリウスがそう声を掛ける。俺なんか、という言葉にイッセーはユリウスが自分という人間を卑下しているのだということが分かった。

ルドガーという人間が過激な一面を持っているのはヴィクトルの記憶を見たことから分かっていたのでこの惨劇には驚きはそこまで起こらなかった。だが、仲間や世界よりも大切だと言われたにもかかわらず自分のルドガーにとっての価値が分からないユリウスに、どんな過酷な人生を生きてくればこうなるのかと思ってしまう。


『全部……無駄だったか……うっ!? ぐああああっ!』


カナンの地を見上げてそう呟いたユリウスの元に時歪の因子化(タイムファクターか)の浸食が襲い掛かる。時計を落とし、苦しそうにもがくユリウスの左腕は全てが黒く染まり、首筋も染め上げ、頬までも浸食してしまう。その様にリアスは今までユリウスはずっと気力で進行を抑えていたのではないかと考える。

そして今、気が抜けたために一気にその命を削られた。弟が何もかもを捨ててまで守ってくれたにもかかわらず……。その虚しさに小猫は言葉が出なかった。どう足掻いても“ルドガー”は大切な人と長くいることが出来ないと言う事実が黒歌の胸を締めあげる。


『ルドガー……』


返り血を頬につけたまま苦しむ自分の元に駆けつけて来た
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