四十九話:Good bye my world
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ルドガーがユリウスの手紙について、話し終えた後、重苦しい空気が部屋の中に流れる。そして、ミュゼがエルはこの事を知っていてルドガーを魂の橋にしない為にビズリーの元に行ったのではないかと言う。その事実にルドガーはまた守られてしまったのかと弱い自分に吐き気がする。そんなルドガーの元にガイアスが近づいていき話しかける。
『ひとつ確認しなければならないことがある』
重々しい言葉ではあるが、決して言いよどむことなく次の言葉が告げられる。
『ルドガー、お前はカナンの地に行くために―――兄を犠牲に出来るか?』
告げられたのは残酷な現実。その余りの言い方にジュードが止めようとするがミラがそれを手で制す。黒歌達もその言い方はあんまりだと思ったが、これは避けて通ることのできないことだと分かったので何も言えなかった。
『できるわけないだろ! 俺の……たった一人の兄弟なんだぞっ!!』
テーブルを叩きつけながら吐き出された言葉は余りにも痛々しい物だった。それを聞いた黒歌は心をナイフで切り刻まれた様な痛みを覚える。たった一人の兄弟を殺す。しかも、それが極悪非道な人間でもなく、自分を今まで守ってきてくれた兄なのだ。その心の痛みを黒歌は理解してあげることは出来ない。
そんなルドガーに対してミラが気持ちは分かると言い。ジュードが自分達はユリウスと話して来ると言って外に出て行く。ルドガーはそんな仲間達を見送ることもなく椅子に座り頭を抱える。
そして、どうしてこんな事になってしまったんだ。自分はただ、エルとの約束を果たしたかっただけなのに。また、大切な人達と当たり前の平穏な日常を送りたいと思っていただけなのに……どうしてなんだ。と答えの出ない問いに頭を悩まし続けていた。そんなところに、誰かがドアを叩く音が聞こえて来たのでルドガーは仲間の誰かかと思いドアを開ける。
『ルドガー……あのさ、取り立てなくなって、おめでとーって言いに来たんだけど……なんかあった?』
客人はノヴァであった。なにやら、自分の様子を心配するノヴァにルドガーは何かあったのかと聞いてみると衝撃の言葉が飛び出してきた。
『魂の橋は、ルドガー抜きで架けるとかなんとかって―――』
その言葉を聞いた瞬間、ルドガーはノヴァを押しのけて駆け出した。ルルも一緒についてくる。ノヴァが後ろから呼び止めようとする声が聞こえてきたがそんな物は全て無視をする。今はユリウスだ。何に代えてでもユリウスの元に行かなければならなかった。
ルドガーがマクスバード、リーゼ港に向けて走っていると、カナンの地へと一本の道が伸びているのが見えた。イッセーは、まさか、エルが、とも思ったがよくよく考えてみればクロノスへの切り札であるエルを橋の材料にするわけがない
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