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IS インフィニット・ストラトス〜普通と平和を目指した果てに…………〜
number-28
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ロニクル。同じ強化遺伝子試験体(アドヴァンスト)の失敗作。成功体より体は小さく、幼児体型だけど身体能力などは成功体となんら変わらない。その子……くーちゃんに成功体から抜き取った戦闘経験を入れたマイクロチップをインストールすれば即戦力だよ」
「クロエ・クロニクル……ああ、あの子か。確かにそれならいいな、容姿もほとんど変わらない。もともといろいろ無駄に発達させすぎたから精神の成長も早かった。だからこんなことになってしまったが、その心配をする必要がないようだな。よし、近々それを実行に移すとするか」
「それはいいけど……別れたあいつらはどうするの? クーデター起こされて離反されたけど、あいつらの戦力は色々と大きかったはずだよ?」
「その件に関しても大丈夫だ。もともと、トップである俺が行動を起こさなかったことに対する不満が振り切れたことによるクーデターだ。だったら、俺が行動を起こすと分かれば手のひらを反してまたすり寄ってくる。そうでなくてももうこちらから交渉を仕掛けているんだ」
「いつの間にそんなことをしちゃってたんだ」
「ああ。スコールはそんなに乗り気じゃなかったんだ。相方のオータムが無茶言ってな、止む無しにっていうことらしいんだ。スコールは俺と戦えたらそれで満足だったみたいだし、すぐに食いついてくれたよ」
「それで、帰ってくるための条件はどうしたの?」
「オータムの始末。あいつはもういらない」


 二人は外に足を放りだして窓のサッシに腰を下ろす。まだ日差しが強く太陽も高い位置にある。こんなにも天気がいいのに事情も知らされずに部屋に待機を命じられておそらく暇を持て余しているのだろう。時々どこかの部屋から声が聞こえてくる。そんな声を聞き流しながら目の前に広がる海を眺める。波の音が部屋に響き、微かに吹く風がかけてある風鈴を鳴らす。


 一夏、箒、セシリアの三人は命のやり取りを行っているのに、二人はものすごく和んでいた。それはやはり、これからこうして心を休める時間が無くなることを分かっているからだろう。火薬と血と鉄のにおいが混じり合った何とも言えないあのにおいが充満した戦場がこれから各地に広がるから。目的を果たせれば僥倖。果たせなくとも二人一緒に死ぬのならば本望。


 どれぐらいそうしていたであろうか。時間にしてみれば一時間にも満たない時間だったが、二人にとってはとても長い時間が過ぎて行ったように感じていた。旅館の中が慌しくなった。生徒の方はいつもと変わらないようであるから、おそらく作戦は失敗して誰かが重傷を負ったのだろう。――――違っていたらしい。
 織斑一夏が意識不明の重体だそうだ。だが、それを聞いたところでどうすることもない。どうせ他人なのだし、ここで死んでしまうのなら面倒が減るだけだ。


「じゃあ、いっこっか?」

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