第4章 戦争と平和
第36話 八神は駒王にて最強…覚えておけ
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の中に少しばかりの嘘を混ぜればいいとよく言う。
アザゼルの説明は、まさにその通りだった。
彼の話すはやての両親の姿は、彼女から伝え聞く話と合致していた。
はやての両親が、市井に混じることを希望していた話もあったが、強硬派を抑えるために許可することができず、すまないと謝ってきた。
何も知らなければ、その言葉を鵜呑みにしていたかもしれない。
それほどまでに、迫真の演技だった。
両親の日記、コカビエルからの話を知らなければ、本当に信じていたかもしれない。
真相を話したことを、コカビエルはアザゼルに伝えていなかったのだろう。
だからこそ、『不幸にもはぐれ悪魔に両親を殺害された少女』に対して、アザゼルは、同情を装っているのだ。
「……そう。両親の話を聞けてよかったよ―――。ああ、夕飯の支度があるので、ここらで失礼させてもらうよ」
のどから絞り出すように声を出すと、ザフィーラを連れてはやては、公園を後にした。
無表情の主を見やり、ザフィーラは心配の声をかける。
(主、大丈夫ですか)
(……ザフィーラ、ああ、すまない。自分を抑えるのに必死でね)
はぐれ悪魔をけしかけたのは、アザゼルで間違いない。
コカビエルの証言を基に、サーチャーと転移魔法を駆使して堕天使領に忍び込み、裏付けをとっていた。
それにもかかわらず、悪びれもせず、さも同情しています、という態度をとられたのだ。
主の心境は推して知るべし。決して穏やかではあるまい。
――――あやうく、殺すところだった
帰り際に念話で放った一言が、その心中を物語っていた。
◇
図書館でぱらぱらと参考書を紐解く。期末試験に向けて勉強中だった。
さすがに大学受験にまでなると前世知識も通用しなくなってくる。
とはいえ、マルチタスクを駆使すれば容易いことである。
汚いさすが魔導師きたない。
隣を見ると金髪美少女がいる。
ついでに、アーシア・アルジェントの日本語の勉強もみているのだった。
小さな声でひそひそ話をしながらまったりとした時間を過ごしていると、大きな悲鳴が響き渡った。
「ぎ、ギャスパーさん!? 追っているのは、ゼノヴィアさんですか」
そちらに目をやると、デュランダルを片手に美少女を追い回すゼノヴィアがいた。
アーシア・アルジェントが呆然とつぶやく。
ゼノヴィアに追われて涙目になっている美少女こそギャスパー・ウラディ――だが男だ。
金髪をショートカットにした赤眼が特徴のどこからどうみても美少女である。
グレモリー眷属最後の一人であり、吸血鬼の『僧侶』である。
彼は由緒正しい吸血鬼の一族だが、人間とのハーフである。
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