平穏〜tranquility〜
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ほのかの呼びかけに、こちらも名前を呼んで返す。
「なんだい?ほのか」
真剣な眼差しを向けるほのかに、少々気恥ずかしさも感じる。
「湊真さんは、どう考えますか?」
何をどう考えているのか?という大事な部分が抜けているため、答えようにも答えられない。
「それは、どういうことだい?」
「天下を二分するとうい事です。」
ここでやっと、質問の意図をを察した。
それは、可能かどうかということだろう。
ほのかの単刀直入な質問に、こちらも本音で答える。
「正直、不安しかない。相手の出方がわからない以上、どうすることもできないかな。
でも、諦めるつもりはないよ。」
「そうですか・・・・・。わたしは、、、」口ごもるほのかを遮り、続ける。
「手伝ってくれるか?」
その言葉を待っていたかのように、ほのかは笑顔で、
「もちろんです!」と答えた。
どうやら、ほのかはこのために部屋に来たようだ。自分の意思を伝えるために。
本題は終わったようだが、ほのかとのおしゃべりはこのあと一時間ほど続いた。続いたと言うよりは始まったというべきか。少なくとも最初の話はおしゃべりではなかった。深刻な話におしゃべりというのは申し訳ない。
「湊真さんは、好きな人とかいるんですか?」
おしゃべり、は突然に終わりを告げ、がらっと空気が変わった。それは、10代なら誰もがする質問だと思う。少なくとも、自分の知識上はそうである。
さて、どう答えたものか。目の前のほのかは、少し恥ずかしげにし、目線を合わそうとしない。
「ほのか。その質問だが、、今はまだ。自信がない。」
必死に切り出した答えにほのかは、疑問の表情を浮かべる。
「へ?」
「俺には、その人を守る自信も、幸せにする自信もない。まだ、伝える資格もないんだよ。だから、それを言っちゃいけない気がして。」自分の目標にしているのだ。強くなり、一人でも守れると確信した時にこそ、ずっとそばにいて欲しいと伝えるために。強くなろうとしてるのだ。だから、それまでは伝えないと決めている。
「・・・・・・・・・・。私は、湊真さんが好きです。」しばらくの沈黙のあと、口から飛び出したのは、想像もしていなかった言葉。
もちろん、ほのかが好意を寄せていることは知っていた。しかし、ここで出てくるとは想像もしていなかったのだ。
「ほのか。君の気持ちには答えられそうもない。」この言葉がほのかを傷付けてしまうのはわかっていた。
それでも、これ以外にどうすることもできなかったというのは甘えだろうが、こうする以外には思いつかなかったのだ。仕方なかった選択だと思っている。
俺の言葉を受け止めたほのかは、悲しげな表情を浮かべる。けれど、それほど落胆しているわけでもなく、すぐに笑顔に変わる。それは、100%本物とは言えないが、あら
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