序章〜introductory chapter〜
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「湊真はどこ?」心配そうな声で姫が問う。
「姫様。湊真はただいま昴と慶星と共に不領軍の討伐に国境付近へ行っております。明日の朝にはお戻りになるそうです。」と報告する慧斗に、
「そう。 あっ、いいよ・・・・・私とけいとだけのときは、敬語じゃなくても。」
「いえ…そう言われましても…わかりました。一般兵がいないところでなら。」
「ありがとう慧斗。じゃあ、ちょっと散歩に付き合ってくれる?」
「はい。よろこんで。」
「んー。もう・・・・・」
敬語を使う慧斗を咎めるようにジト目で見つめる瑠璃に、仕方なく慧斗は敬語をやめる。
「…じゃなくて、わかったよ」
「よろしい」笑顔で瑠璃が応える。
「じゃあ行こうか?」
「うん。外は一般兵がいるから敬語でお願いね〜」そう言って隣でにっこりとする。姫のこういうところが可愛いんだよな、きっと。
「了解です。では、行きましょうか。」
「はい」そうして、城の外にある綺麗な湖のほとりを歩く。
「心配ですか?」
「えっ、何が?」いきなりの質問に驚く瑠璃姫に質問を続ける。
「湊真たちの事です。」
納得した顔で姫は質問に答える。
「心配はしています。けど、湊真は強いですから。」姫の目には強い信頼があった。
少なくとも、誰よりも湊真を信じているのは姫だと慧斗は確信した。
視線をずらし、子供たちが水遊びをしている光景をみては慧斗言う。
「この平和を私たちは守らなければいけませんね。次の世代を担う子供たちを。」
「そうだね。なんか思い出しちゃったなぁ。子供の頃、もう6年前かアレは〜。」
慧斗は思い出したくなかった。恐らく、士官学校の入学試験の決闘である。彼は湊
真の魔法で瞬殺されたのだ。
「いえ、昴と湊真、慶星の3人が残って決着は付きませんでした。」結局、時間切れで3人が一位となった。
「あー。そうだったね。うん?そういえば、慧斗は瞬殺されちゃったんだよね。」
慧斗の心に瑠璃姫の言葉が鈍い音を立てて突き刺さった。
「あれは、忘れてください。あんな無様な姿なんか。」
自身の失態を忘れるよう促す慧斗の意思など関係なく、瑠璃姫は続ける。
「いいじゃん。無様だって。あれがあったから今はこんなに強くなれたんじゃない?」励ますようで、どこか面白がっている様子の姫を見つめる慧斗。
「そうですね。過去がどうであれ、今こうして姫様のお側にいられるのですから」と言う。慧斗は、6年前にある決心をした。「それは必ず瑠璃を守る」ということ。傷ひとつ付けさせないということ。
丁度湖を一回りしたところで瑠璃姫が口を開く。
「ありがとう。散歩に付きあってくれて。楽しかったよ〜」
慧斗は瑠璃を部屋までおくり彼自身も部屋にもどる。踊る気持ちをしまい込んで。
〜〜〜〜〜〜〜〜
戦況はこちらに有利だっ
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