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問題児たちが異世界から来るそうですよ?  〜無形物を統べるもの〜
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線が細かく、背の高い切れ長の目をした男。そんな特徴を口にすることは出来るのに、その見た目から何も読み取ることができない。場所も、存在理由も、目的も、何も読み取ることのできない男。そんな奴を見て、そして名乗りを聞いて、一輝はその正体がなんなのかを知った。

「ああ・・・あんたがグリムの詩人なのか。コミュニティ幻想魔道書群(グリムグリモワール)を率いた元魔王が、俺に何の用だ?」
「いやあんた、なんでそこまで知って・・・って、ああそうか。閣下から聞いたのか。」

どこから情報を手に入れたのか、遊興屋(ストーリーテラー)は一輝がアジ=ダカーハを従えていることを知っていた。そのことにまゆをひそめた一輝だが、そんなことはどうでもいいと話を再開する。

「まあ、そういうことだ。アジ君からは『会ったらすぐ殺すくらいのつもりでちょうどいい』って言われてる。」
「閣下物騒すぎ・・・今日は俺も、お互いにとって利益のある話を持ってきただけなのにな。」
「ふぅん・・・」

一輝は探るような視線を送るが、一切気にする様子はない。自分から話して一輝に話の主導権を与えるつもりはないのだろう。

「で、話の内容ってのはなんだ?」
「いやさ、閣下が原典候補者でもない君に倒されちゃったから俺の計画が丸ごと崩れたわけなんだ。だから、代わりに君が俺に協力しないか?俺が詩人の力もなんでも使いまくって全力でサポートするけど。」
「断る。」

一輝は即答でそう返して、倉庫の中から短刀を取り出す。日本刀を振るえるだけの力は残っていなくても、これくらいのもならば扱うことができる。

「へぇ・・・理由を聞いても?」
「興味がない、ただそれだけだ。」
「なるほどなるほど、分かりやすい理由だ。ちなみに、協力しないと大変なことになるって言ったら?」
「俺が守りたい人はちゃんと守るから、どうぞご勝手に。関係ない奴が何人死のうがどうでもいいし。」

はっきりとそう言い放つ一輝を見たグリムは、腹を抱えて声を出して笑ってしまいそうになるのをどうにか抑える。そしてそれがある程度落ち着いてから、一言。

「ククッ・・・やっぱりあんた、コッチ向きだよ。どう考えてもその考えは、魔王のそれだ。こっちにくるべきだって。」
「その言には全力で賛成だけど、だからって行くわけにはいかないな。どうしようもない(クズ)である俺のことを仲間だって言って受け入れてくれるやつらの敵になるのは無理だ。」
「そう思い、行動すること自体が悪行だとしても?」
「俺が悪だってのは、もう今更だ。その程度のこと気にならねえよ。」

そう言った一輝は自分の足で立ち、短刀を抜いて構える。
これ以上話すつもりはないと、態度で示すために。

「せっかく構えてるところ悪いけど、無駄だぜ。前に閣
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