第五章
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「人間が力を欲しいと思うだろ」
「初瀬さんみたいにか」
「そうさ、それでその力を手に入れたらな」
「あの人みたいになるんだな」
「心がないとな」
そうなるとだ、サガラは城之内にも話した。
「その力に耐えられる」
「そういうことだったんだな」
「だから葛葉紘汰はな」
彼はというのだ。
「大丈夫だったんだよ」
「紘汰さんに心があったから」
「そうさ、これでわかったな」
「スサノオはワテクシ達を滅ぼすつもりはないのね」
「うん、ないよ」
黒衣の青年が鳳蓮に話す。
「全くね」
「ワテクシ達と戦って」
「そして人間を見てね」
「楽しみたい」
「言うならばインベスは駒だよ」
スサノオのそれに他ならないというのだ、彼等は。
「君達と戦わせるね」
「随分嫌なやり方だな」
ザックは青年のその説明を聞いてすぐに眉をしかめさせた。
「あいつ等にだって心はあるだろうにな」
「いや、それはどうか」
呉島がそのザックに言う。
「彼等も力を与えられた」
「力?」
「我々と同じくな」
考える顔でだ、彼はザックに言うのだった。ライダー達は今は全員呉島の執務室の応接用のソファーに座り顔を見合わせつつ話している。テーブルにはコーヒーがある。
「そしてその力にだ」
「溺れた」
「そしてだ」
「スサノオの手駒になったのか」
「人は力を手に入れるとそれに溺れる」
「確かに」
呉島のその指摘にだ、城之内は顔を少し青くさせてこの言葉を出した。
「俺もライダーになった時は」
「その力を手に入れてだな」
「ああ、有頂天になって」
それでだったというのだ。
「何でも出来るって思ったよ」
「しかしそれはだ」
「スサノオの罠で」
「それに溺れるとだ」
「初瀬さんみたいになってたか」
「彼は力を忘れられなかった」
黒影、その力をだ。
「そしてその力を再び手に入れる為に」
「果実を食べて」
「ああなった」
インベスとなりだ、シドに倒されたというのだ。
「そういうことだ」
「じゃあインベス達も」
「あの連中は力に溺れていた」
完全にだ、そうなっていたというのだ。
「人の身体よりも遥かに強い力を手に入れてな」
「正直あいつ等は屑だった」
ザックはインべスの頂点にいたオーバーロード達の多くを念頭に置いてだ、ザックは忌々しげにこう言った。
「あれがか」
「そうだ、力に溺れた者だ」
「ああして腐ってか」
「自分達が知らないうちにスサノオの手駒となる」
「だから僕も」
ここでだ、光実は城之内以上にその顔を青くさせて言った。
「あと少しで」
「君は本来ならね」
それこそとだ、青年は彼に言った。
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