マブラヴ
ゲート 自衛隊彼の地にて、斯く戦えり
0933話
[1/5]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
視線の先にいる……否、あるのは未だに燃え続けている炎。
それは既に普通の炎ではなく、地獄の業火とでも呼ぶべき炎に見える。
炎の中では弓を持っていた盗賊達の死体が既に炭と化し、その炭にしても炎の舌に舐められるとボロボロと崩れていく。
その光景を間近で見た為だろう。俺の後ろで影槍によって身動きが取れなくなっている盗賊の生き残り達が声も出せない様子で、ただひたすらに小さな呼吸を繰り返している。
そんな盗賊の捕虜を一瞥すると、俺の視線が向けられたと分かったのだろう。ビクリと身体を硬直させる。
自分の目で見ても何が起きたのか分からない光景を目にし、完全に怯えきっていた。
その恐怖は、恐らく亜神であるロゥリィを相手にしている盗賊達と同種に近い。
実際、ロゥリィの相手をしている盗賊は既に10人足らずまで数を減らし、元盗賊と言うべき肉片や骨片といったものが周囲に大きく散らばっており、あるいは炎獣により食い千切られた四肢や半ばまで燃やされてしまった生身の肉体といったものが散らかっている。
俺の視線の先では、また1人ロゥリィのハルバートによって胴体を砕かれれ、残った上半身と下半身がそれぞれ違う方向へと飛んでいっているが見えた。
ロゥリィと戦っている盗賊達にしても、既に勝ち目がないというのは理解しているのだろう。あるいは俺が全滅させた後衛部隊がまだ生きていれば、自分達もダメージを受けるのを承知の上で一か八かの逆転を狙った攻撃が出来たかもしれない。
だが、それも今は既に無理だ。
だとすれば逃げ出すのがベストなんだろうが、炎獣はロゥリィの戦っている場所を守るかのように円を描きつつ周囲に佇んでいる。
もし盗賊が逃げ出そうとしても、間違いなく炎獣がそれを妨げるだろう。
しかもそれをロゥリィが黙って見過ごす筈もない。
そうである以上、盗賊達に出来るのは何とかしてロゥリィを倒す……とまではいかなくても、何とか逃げるチャンスを伺うしかないのだが……色々な意味で既に詰んでいるな。
あ、今度はハルバートの一閃で2人の頭部が纏めて砕けた。
そんな地獄としか言えないような光景を眺めつつ、俺は背後で未だに震えている魔導士達へと尋ねる。
「さて、ここで1つ選択肢をやろう。向こうでロゥリィと戦っている盗賊達の援軍に向かうか、あるいは大人しく俺達の捕虜となるか。好きな方を選ばせてやる」
「ほ、ほ、捕虜になる! なります! ならせて下さい!」
そんな声が周囲に響き渡り、叫んだ女以外の者達も全員がそれに同意するかのように激しく頷いていた。
「いいんだな? 俺達の捕虜になる以上、色々と厳しいものがあるが」
実際、俺はこいつらを魔導士だからこそ捕らえた。
当然捕虜になれば、レモンやエヴァ、あるいは葉加瀬といったその辺に
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ