エイプリルフール番外編 【六畳間編】
[2/28]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
では理解できない。
そのためにアオは言葉を返せなかった。
しかし、良く見れば男の容姿に見覚えがあった。
それは去年の文化祭の演劇での事。その時に壇上に上がった役者がたしかこんな鎧を着けていなかったか?
そして、おそらくこのような感じの顔立ちだった気がした。名前はたしか…
「えと…里見孝太郎で合っている?」
と、アオは日本語で問いかけた。
「日本人なのか?と言うか同じ学校なのか?」
その孝太郎の問いかけにアオは答えた。
「神城蒼と言う。いやよかった。一瞬ここがどこか異世界ではないかと思ってしまったよ」
とおどけて答えたアオだが、それに孝太郎がとても残念な答えをかえした。
「いや、ここは異世界で間違いないぞ」
と。
『お知り合いでしょうか』
と、蒼銀の髪の少女が問いかける。
どうやら今三つの言葉が状況によって使い分けられているらしい。
『同郷の学友と申しましょうか。そのような関係です』
そう孝太郎が答える。
『それでは彼もいづれかにお使えの騎士様であらせられるのですか?』
と言う少女の問いに孝太郎はうまい返しが思いつかないらしく、適当にごまかしていた。
『アライア殿下。あなたに害のある人物ではありません。それは俺が保障しますよ』
と言う孝太郎の言葉でアライアの表情からようやく険が取れる。
『どうしますの青騎士もどきぃ…聞いていれば彼はわたくしたちと一緒に飛ばされてきたみたいですわね』
結構堂々と内緒話をしているが、アライアと呼ばれた少女も言葉を理解している風ではない。
どうやら二人だけが知る言葉のようだ。
『どうって言っても一緒に連れて行くしかないだろう。どう見たって彼は俺たちの被害者なんだからな。見捨てるなんて事はできないぞ。それともあの揺り籠だったか?あの宇宙船に連れて行くか?』
『それは出来ませんわ。わたくし達に何の関係も無い原始人を揺り籠の中に入れるなんて…』
『まぁ、適当にいじられたら大変だろうな。…それよりも翻訳機のような物は無いのか?』
『予備になるようなものはいまのわたくしには有りませんわ』
『使えないやつだな…』
『ころす…ぜったいころしてやりますわ…青騎士もどきぃ』
なんか雰囲気的に最後はコントになっているような気もするが、未だに言葉の通じないアオは状況を見守るばかりだ。
アオにはどうやもどうやらここは異世界で、何かかれらに原因がある事までは推察できた。
帰る手段が有るかは分からないが、取り合えず、彼らに着いて行く方が良いかも知れない。
どうやら彼らは後ろのアライアを仲間の下へと送る途中のようだった。
日も暮れたころ、ようやくアライアの
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ