エイプリルフール番外編 【六畳間編】
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何処はここは。と、アオは周りを見渡した。
見渡す限りうっそうとした木々が連なり、どうやらどこかの森の中のようだった。
さて困った事になったとアオはうな垂れた。
なぜこんな所に居るのだろう、と。
現状を確認して一番最初にやった事は、影分身の解除だ。
どう言うことだと思うかもしれない。しかし、一番にやらなければならない事だった。
なぜなら、このアオは本来分身でなければならないはずであったからだ。
影分身を解いた最後の記憶は学校での事。
高校での所要を影分身に任せて本体は急用で先に帰っていたために、用事を終わらせると影分身を解いたはずだった。そうなれば、その記憶、経験を本体に還元させるために見えない流れにのって本体に帰るはずであった。
が、しかし…
「影分身が解けない…だと?」
さらに悪い事に、本体から供給されるはずのオーラが感じられず、むしろ自身の体から発せられている。
「ソル…これは…?」
胸元のソルに声をかける。
アオがもっている物は着たままの制服を除けば胸元のソルだけだ。
『お答えしかねます』
ソルも判断に困っているらしい。
「本体に戻れず、とは言え影分身と言うわけではないし木分身でもない…。確実に実体…いや、本来の体を持ってしまっている?」
アオが出した結論はどう言う訳か本体とは別の存在になってしまったと言う事だ。
何故そのような事になったのか、それはアオには分からないが、事実を総合して考えるとどうやらそう言う事らしい。
「どうするか…」
と、途方に暮れていると茂みをがさがさと誰かが通る音が聞こえてきた。
振り返ると、青い甲冑を着た男が薄いブルーの髪にクラシックなメガネをかけた少女を背負い歩いてきていた。その後ろには蒼銀の髪をした人目で高い身分である事が伺える服装をした少女を連れている。
「あれ、学生服だぞ?クラン」
騎士甲冑の男がそう声を上げた。
『はあ、そんなはず有りませんでしょう?ここは古代フォルトーゼですのよ』
と、日本語で語った少年に返したクランと呼ばれた少女の言葉は聞き覚えの無いものだった。
『そうは言ってもな、この時代に学生服なんて物があれば別だが…あれはどう見てもウチの学校のやつだぞ』
と、少年の言葉も今度は聞き覚えのないものに変わっていた。
『どなたかおいでなのですか?』
少し距離を取っていたからだろうか。ようやく気がついたと後ろの少女が声を出す。が、しかし、それもやはり上の二人とは別の言葉に聞こえた。
『すこしお待ちを、アライア殿下』
男はそう言うとアオに向き直る。
『悪いが、あんたはそこで何をしているんだ?』
男の語る言葉は今のアオ
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