エイプリルフール番外編 【シャナ編】 その2
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母親が用意した弁当を持ち玄関を出る。
「…いって…きます」
知らない誰かに掛ける声。
「いってらっしゃい。理緒」
御崎高校1年2組。それがリオが通う事になった高校の名前だった。
この世界は異常だ。
普通の人間に紛れ、オーラの塊で出来た人間が人間の振りをして生活している。
しかもその存在が力を使いきって消失すると周りの人間は何も無かったかのように生活をつづけている。
そう、人間の消失などなく、最初から居なかったかのように。
昨日まで有った学級の机が翌日には一つ減っていたとしても周りは誰も気にしない。
わたしはそれがとても気持ち悪く映る。
また昨日まで人だったものが次の日にはオーラの塊に変じている事もある。
平井ゆかりと坂井悠二。この二人は昨日までは確かに人間だった。
しかし今はただのオーラの塊にすぎない。
数日後、平井ゆかりが別のだれかに変わったとしても他の誰も気にしないようだった。
いや、わたしと坂井悠二を除いて。
平井ゆかりの存在の痕跡に自身を割り込ませる。そうすれば周りからは彼女が平井ゆかり本人として感じられる。たとえ姿や形、声や性格がどれほど変わっていようと周りは受け入れる。
それは同様の事がわたし自身にも起こっていると言う事。
つまりオーラで出来た人間の変わりにその存在に割り込んだ?
正解を引き当てた事でさらにわたしを苛ませるだけだった。
つまりわたしの存在の外郭たる『東條理緒』は世界から忘れられるはずの存在だった、と。
ため息が出る。
ホームルームが終わると重い足取りで教室を出る。
瞬間世界から色が失われる。同時に切り離された因果に人も物も動きを止めた。
…これは?
次いで強大な存在が気配を現せた。
写輪眼で遠目に眺めたそれは白いスーツを着込み手にはドールを抱え愛でていた。
うぇ…
そんな存在の登場に迎え撃つのは平井ゆかり。振るう武器は大太刀。
しかし、強大な存在も目的はなんなのか、直ぐに去っていく。
破壊された教室、また破壊された人間。それを修復し終えたのか結界が解除された。
非現実の戦闘をおこなった彼女に接触するべきか、せざるべきか。
君子危うきに近づかず。
様子見かな。
何が起こっているか分かれば何かが出来たかもしれない。
後になって知りえたからの後悔。この時聞いておけば、それにより救えなかった命がある。しかし、それも流されるわたし自身の業。
何度か大きな力の発露を感じながらも首を突っ込まず、穏やかな時間がすぎる。
しかし、そんな時間を壊すかのように巨大な結界が張られ、わたしはそれに取り込まれてしまった
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