第73話 愛車の手入れは自分でやろう
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リップを目一杯回す。
それに呼応するかの様に音を立てて遠くへと飛んでいく原付の後輪。
「……ゑ?」
突然起こった出来事に一瞬何が起こったのか分からず後ろに視線を移す銀時と鉄子。そんな二人の視線の先でコロコロと遠くへ転がって行く原付の後輪。
その後、続けて原付の前輪もその場で外れて倒れてしまった。原付の移動の要と言える前輪と後輪の二つがアッサリと外れてしまった。
その事実を目の当たりにした銀時は突如として発狂しだした。
「ふざけんなあのくそじじいぃぃぃぃぃぃぃ!!!」
「ぎ、銀時!?」
「あんのくそじじい! 何が変形だ! これじゃただの解体じゃねぇか! 散々期待させやがっといて結局このオチかよ! 一体何考えて改造しやがったんだあの―――」
喧しく発狂し続けていた正にその時であった。突如原付下部から轟音が響き渡る。何事かと思い下を見ようと身を乗り出そうとした銀時であったが、そんな事をする前にハンドルにしがみつきだした。
原付が猛スピードで上空へと飛び上がっているのだ。
「んごごごごごごごぉぉぉぉぉ!!」
猛スピードで上空へ飛び上がる為に相当な重圧が銀時と鉄子の二人に圧し掛かる。銀時は必至になってハンドルにしがみつき、その後ろに居る鉄子は必至に銀時にしがみつく。二人とも鶏を絞殺した時に出す断末魔の様な声をあげる程度の事しかできなかった。
そんな二人を乗せた原付は悠々と空を飛び、真っ直ぐ上空を飛ぶ偽装船へと向かっていた。
【あ〜、銀の字。万が一変形ボタンを押した時について注意しておくんだが、その変形機構は恐ろしく燃料を食う。多分お前の原付じゃもっても精々1分程度が限界だろう】
「マジかよ……おい、鉄子! 爆発する前に飛び乗るぞ! 何時でも飛び降りる準備しておけよ!」
「わ……分かった!」
未だに凄まじい重圧が掛かるがこのまま原付にしがみついていては爆発に巻き込まれてしまう。そうなる前に原付から飛び降りなければならない。だが、まだ偽装船からは程遠い。今飛び降りてもとても取り付けはしない。
恐らく爆発するのとほぼ同時にジャンプしなければ飛び移れないだろう。
「まだ爆発するなよ……もう少し、もう少し―――」
歯を食いしばり、銀時は目の前に近づいてくる偽装船を睨む。徐々に偽装船が近づいてくる。しかし、それと同時に原付各所から部品や機材が軋む音がしだしてくる。いよいよ限界が近づきだしている事なのだろう。頼むからもう少しだけもってくれよ。
祈る思いで銀時はハンドルを握りしめた。
「鉄子、飛ぶぞぉ!」
「わ、分かった!」
銀時の合図を受け、鉄子は銀時と共に原付からジャンプした。だが、偽装船まではまだギリギリ届かない。手を目一杯伸ばしてもその手が引っ掛からない
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