本気の手助け。失いたくない物の為に
[5/5]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
う」
「頼む。これ以上の無理をしないでしくれ」
俺は土下座で頭を下げた。
”ピリリリリッピリリリリッ”
「ご免なさい。電話だわ」
気まずそうに雪ノ下は受話器を取る。
「はい。…はい…大丈夫です……ファックス?……ええ…失礼します…」
雪ノ下は受話器を戻した。
しかしファックスとなると必要な書類が送られてくるのだろうか。
雪ノ下はファックスもとへ行き、送られてきた紙を見て固まった。
「おい、どうした?」
「ひゃっ!な、何でもないわ///」
「なっ!?顔赤いぞ!熱があるんじゃないのか!」
雪ノ下はみるみる顔が赤くなり、ふらふらと机に戻る。
そして書類にサインを書き、昨日渡された相模の判子を押した。
「これでいいかしら…」
「あ、ああ。
だが、何で急に…誰からの電話だったんだ?」
180度意見が変わった雪ノ下にビックリする。
雪ノ下は未だに顔を紅潮させ、俺と顔を合わせないようにしている。
「私の知人よ…」
あらぬ方を向いてそう言った雪ノ下。
おかしい…普段の雪ノ下ならば確りと目を見て話す筈なのに…。
「ちょっとその紙見せろよ」
「だ、ダメよ!これは…!」
俺の言葉にパッと後ろに隠す雪ノ下。
「良いから見せろ!」
俺は雪ノ下の後ろに手を伸ばす。
抵抗する雪ノ下は中々隙がなく、それでいて必死に隠そうとする。
そして―――
「あ……」「ん?………」
俺が雪ノ下を押し倒すような体制で固まってしまった。
二人して顔が赤くなり、俺は慌てて飛び退いた。
「わ、悪い!」
「いえ、別に…」
沈黙。
お互いになにも話さず、静かに時間が過ぎていく。
因みに取ろうとした紙は雪ノ下が折りたたみ、胸ポケットへとしまってしまったため、取り出しが不可能になってしまった。
”ピンポーン”
「客…か?」
「そ、そうね」
た、助かった…気まずいなんてものじゃなかった!
と、兎に角、これに乗じて帰るしかない!
俺は例の用紙を鞄に入れて玄関へと向かった。
「あ…」
「お、お邪魔だったかな?」
玄関には比企谷と由比ヶ浜がいた。
「いや、俺はこれから帰るところだったから」
俺は靴を履いて外へでる。
「雪ノ下。取り合えずサインありがとう。
体調治してまた学校でな」
「え、ええ。また…」
あの二人にいらない誤解を与えた気がするが、取り合えず帰って仕事を終わらせよう。
俺は早足に家路を辿るのだった。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ