第四十一話 夜の熱気その三
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怪人の背に符号が出た、菊の勝利の証が。菊はその証を見てから怪人の口から刃を抜いてだ、勝利の笑をみを浮かべて言った。
「身体の中はね」
「俺の皮もないからか」
「そう、防ぎ様がないわね」
「その通りだよ」
怪人もそのことを認めるのだった。
「口の中なんてな」
「そう、身体の中で一番柔らかいわ」
それこそ腹以上にだ。
「鍛えようがないから」
「そこを衝くなんてな」
「鰐の最大の武器は口」
このことも言う菊だった。
「そうでしょ」
「ああ、尻尾以上にな」
「それを使った瞬間こそがなのよ」
「俺の、鰐の弱点なんだな」
その弱点である口の中を露わにする、まさにそれこそが最大の弱点なのだ。これは鰐に限らず他の動物も同じである。
「そうなんだな」
「そうよ、それを衝けて何よりよ」
「やられたな」
怪人はこうも言った。
「頭の差で負けたってことか」
「戦いってのはそうでしょ」
菊は楽しげに笑ってこうも言った。
「頭を使ってこそでしょ」
「そうだよな、よくわかったよ」
「じゃあこれでね」
「お別れさせてもらうか」
身体が灰になっていく、その中での言葉だった。
そして怪人は完全に灰となった、そうして去ったのだった。
その菊の横では薊がロブスターの怪人と闘っていた、七節棍を振るいそこに加えて己の力である炎も使った。
そしてその炎をだ、怪人に対して。
火球にして左手からサイドスローの要領で投げる、その炎に対して。
怪人は素早い動きで右にかわして動いてだ、こう言うのだった。
「今の位じゃな」
「当たらないかい?」
「俺はこう見えても素早いんだよ」
「後ろにしか動けないのかって思ったんだがね」
「おいおい、それは普通の海老だろ」
背中の曲がったそちらだというのだ。
「俺はまた違うぜ」
「ザリガニだからか」
「正確に言うとロブスターだな」
だからだというのだ。
「後ろだけじゃないんだよ」
「横にも動けるんだな」
「そういうことさ」
こう明るく言うのだった。
「あんたにとっちゃ残念だったな」
「いやいや、これ位はな」
「想定してったかい?」
「ああ、だからな」
それでというのだ。
「それならそれでだよ」
「次の手を打つっていうんだな」
「そうさ、あんたは普通に攻めても駄目だしな」
その甲羅を見ての言葉だ、まさに鎧となっているそれを。
「だからな」
「火で攻めるっていうんだな」
「それも使ってな」
こう言ってだ、両手に持った棒をだった。
己の前で水車の様に激しく旋回させそこに炎を宿らせてだった。
房ごと怪人に向けて放った、怪人はそれを今度は左にかわした、この時怪人は余裕の笑みを浮かべてこう言った。
「残念だったな、今度も」
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