第四十一話 夜の熱気その一
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美しき異形達
第四十一話 夜の熱気
薊と菊は通天閣の下で怪人達と対峙していた。周りは夜だ。
その夜の中でだ、薊は己の得物である棒を両手に持ったうえで。
時計回りの流れでだ、左斜め前に動いていく。その動きを見てだった。
怪人は楽しそうにだ、自分も左斜め前に動きつつ言った。
「いい動きだよな」
「わかるのかい?」
「ああ、足の動きからな」
それで、というのだ。
「強さってわかるからな」
「だからそう言うんだな」
「あんた強いね、それも相当に」
「だから生き残ってきたんだよ」
薊は笑って返した、怪人のその言葉に。
「色々あったけれどな」
「そうだよな」
「それで今回もだよ」
この闘いでもだというのだ。
「あたしは生き残るさ」
「俺に勝ってか」
「色々知りたいことが出来たからな」
それ故にというのだ。
「絶対に生き残るさ」
「まあそれは俺に勝ってからだな」
怪人の言葉に剣呑なものが宿った。
「それから言うんだな」
「それからか」
「ああ、それからだよ」
「そうだな、けれど言葉を先取りしたんだよ」
「俺を倒すことは決まってるってか」
「だからだよ」
今の様に言っているというのだ。
「こう言ったのさ」
「強気だな」
「弱気なのは性分じゃないんだよ」
このことはその通りだ、薊は確かに気が強い。そして時としてそれが男まさりと言われる場合もあるのだ。
「そういうことでな」
「やるんだな」
「そういうことさ」
こう話してだ、薊は怪人との闘いをはじめるのだった、棒の間合いに入るとだ。
まずは突きを出した、怪人はその突きを右の鋏で弾き返してから言った。
「言うだけはあるな」
「へえ、あっさり弾いたな」
「いい攻撃だよ、けれどな」
それでもだというのだ、怪人は余裕のある言葉で薊に返した。
「これ位じゃな」
「あんたを倒せないか」
「そうだよ、俺の鋏を壊せないな」
「鋏だけじゃなく甲羅もだよな」
「何だよ、わかってるんだな」
「あんたみたいな怪人も結構見てきたからな」
だからだとだ、薊は弾かれた棒を握りなおしつつ言った。
「わかるさ」
「それじゃあ今の攻撃はか」
「挨拶さ、それじゃああらためて仕掛けるか」
薊は怪人との間合いを詰めて棒だけでなく蹴りも入れた、怪人はその薊に両手の鋏で向かう。そうして接近戦を演じるのだった。
その二人の横でだ、菊は鰐の怪人との闘いをはじめていた。
まずは左手に持っているその十字手裏剣をだった。
三発一度に投げた、それが怪人を襲うが。
怪人は尾を動かしそれで叩き落とした、そして。
そのうえでだ、菊に対してこう言った。
「手裏剣位
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