第2話「ポジティブシンキングな奴ほどよく笑う」
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戦う。
人が戦うことには必ず理由がある。
空から飛来した天人に立ち向かう男たちにも戦う理由があった。
『国』を護ると一丸となって彼らは武器を手にする。
だが理由はそれだけではない。
『家族』を、『仲間』を、あるいは『愛する人』を護るために。
それぞれが己の信念を抱いて、男達は戦場を駆け抜ける。
そして少女もまた刀を振るっていた。
人々の『笑顔』を護るために。
戦いの日々は続く。
戦場に立つと決意したあの日から、少女は兄と同じく刀を振るい天人を倒していた。
迫りくる天人の群れに少女は絶え間なく攻撃を続けるが、男の兄達と比べて体力の劣る女の身体に、長期戦は圧倒的に不利になる。
だがどんなに手強い相手でも致命的ともいえる部分を潰してしまえば、手っ取り早く勝負はつく。
損失すれば『生物』として機能しなくなる部分――それは『眼』だ。
生きる事にも戦う事にも重要な視覚情報を潰された相手は途端に怯む。その隙をついて一撃で止めを刺す。
無論、『眼』でなくてもいい。『関節』等、身体を使えなくしてしまえばいい。
戦場の中で考えた一つの戦略を、少女は何度も繰り返していた。
何度も何度も。
最初は慣れない威圧的な雰囲気に押されることや、戦場の中に女が加わることを『足手まとい』と侮蔑されることもあった。
だが少女は耐えた。それは耐えることができた。
ただ、我慢ならないのは『仲間』が死んでいくことだ。
戦場に流れるのは血と骨だけ。そこから死者がでないことなどありえない。
そんなの分かっていたこと。覚悟していたこと。
これ以上仲間の『笑顔』を消させないために敵を倒すだけ。
泥にまみれようが血にまみれようが、ひたすら天人を斬り殺すだけだ。
異形の天人の肉と骨を斬る生々しい感触が伝わる刀を手にして、少女は戦い続ける。
少女はまだ気づいていなかった。
骨を裂き血を浴びるたびに胸の奥で蠢く感情に。
* * *
出会いは必然だと誰かが言っていた。
他人と出会い自分の中にはなかった考えや在り方を知り、そこから今まで見えていなかった世界が広がることで人は成長していく。
だからこそ出会いの中には必ず意味があり、人は出会いを重ねる。
少年が出会ったのは自分と同じく己の信念を抱き闘う者――『侍』たちだ。
彼らは共に戦場を走り共に闘う『仲間』であった。
そして――
「お義兄さん」
関西訛りで喋る少年――岩田光成。
彼もまた攘夷戦争の中で出会った侍の一人である。
岩田はにっこり笑いながら銀髪の少年――坂田銀時の肩にポンと手をのせた。
「『うたのおにいさん』ならあっちにいたぞ」
「ハハ〜冗談お上手ですなぁ。さすがワイのお義兄さんや」
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