第2話「ポジティブシンキングな奴ほどよく笑う」
[5/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
に……ワイとチューを〜!」
“ボカッ”
タコのように伸びた唇で迫る岩田は、当然の如く双葉のアッパーカットで撃退された。
歯を噛みしめてさっきとは別の意味で頬が赤く染まった双葉は、「帰る」とただ一言砦に戻っていった。
一方の岩田は殴られた顎をさすりながら苦笑を浮かべて、高杉と肩を並べる。
「ほんま強い娘や。ワイ、双葉はんみたいな気ィの強い娘好きやねん。高杉はんはどこが好きなんでっか?」
「てめーに言わなきゃいけねぇか」
愛想良く聞いてくる岩田に、高杉は溜息をついた。
ついさっき惚れた女にキスした男だというのに、岩田は嫌悪も突っかかりもせず気軽に話しかけている。明るく前向きな性格だからといって、普段と変わらないでいられるのは、ある意味大物だ。そんな彼に高杉はいつも調子を狂わされる。
「……岩田、てめーよく俺と話せるな」
「さっきのチューのことでっか?こう見えてもワイ嫉妬してまっせ。けどここで喧嘩したって双葉はん悲しませるだけやし、高杉はんとも仲悪ぅなってまう。ワイそないの嫌やわ」
「……俺ら仲良かったか?」
「何言ってますの〜。高杉はんはワイの恋のライバル兼親友でっせ」
「俺はそんなのになった覚えはねぇ」
「なら今からや」
「おいおい」
<i3060|26801>
やはり調子が狂う。
しかし何にも臆せず誰とも接する彼の陽気さには、多くの仲間が親しみを感じていた。彼は戦争で暗くなりがちな人の心に花を咲かせ、和ませていたのだ。それを本人は自覚してないだろうが。
そんな陽気な岩田が惚れたのは、無愛想をふりまく双葉であった。
「にしてもよ、アイツにつきまとうたぁテメーも物好きだな」
「つきまとうって、ワイはストーカーちゃいまっせ。……ただ支えたいんや」
「支える?」
高杉が聞き返すと、岩田は表情にどこか真剣さを潜めながら語り始めた。
「男の中に混ざって戦うなんてえらい度胸がいるのに、全然めげへんで頑張っとる。ワイはその姿に惚れたんや。それに『女の双葉はんがあないに頑張っとるのに、男のワイらがヘコタレててどないすんねん』って元気もらえるんですわ」
敵軍に囲まれた男の侍たちが自害を覚悟していた中で、最後まで刀を振るうと地を蹴ったのは女の侍だった。その少女が闘う姿は岩田の瞳に焼きつき、同時に彼は強く心惹かれたのである。
「双葉はんやて疲れとるはずなのに、弱いトコは絶対見せへん。ほんまに健気やで」
「何でも我慢すんのが双葉の悪ィ癖だからな」
呟くように高杉は言った。
気が強い分、プライドが高い。高杉や銀時にすら本音をめったにこぼさない。
迷惑をかけまいとしているのかもしれない。だが自分を押しこむような事をしていたら、いつか折れてしまう。
「せやから支え
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ