第2話「ポジティブシンキングな奴ほどよく笑う」
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っていた自分の刀を見つめる。
「この刀でみんなの笑顔を護り抜くと誓った。先生も必ず助け出す」
双葉は刀を強く握りしめた。
ずっと何もせず、ただ兄達の帰りを待つばかりだった。みんなが帰ってくる砦で待つことがお前なりの闘い方だと兄は言ったが、やはりそれでは駄目だ。これ以上笑顔を消させないためには、自分の手で天人を倒すしかない。
何処かに牢獄されている恩師のためにも、双葉は強く心の中で決意していた。
揺るがない瞳を見た高杉は、立ち上がって彼女と目線を合わせる。
「ならどうだ。鬼兵隊に入って俺の下で戦ってみねーか」
高杉から手を差し出される。
彼が率いる鬼兵隊の一人として、共に戦場を走る。
それも悪くない。
だが――
「お前の下で戦うなんてまっぴら御免だ」
双葉は差し出された手を軽く払いのけた。
最初は苦笑のめいたものを浮かべていたが、少し目を伏せて双葉は高杉に背を向けた。
「……お前とは同等の立場でいたいんだよ」
双葉は少しだけ本音をこぼした。
幼い頃から同じ寺子屋に通い、同じものを見て、一緒に育ってきた。共に過ごしていくうちに築かれた二人の間柄を壊すような上下関係には、あまりなりたくない。
どこか兄の面影を感じる彼に、いつしか淡い思いを抱くようになった。それは胸に仕舞っておかなくてはいけない。そうしなければきっと……。
「え?」
両肩を掴まれ、双葉は静かに振り向かされる。いつになく真剣な表情で見つめられ、言葉が出てこない。
そんな戸惑う彼女を優しく見据えて、高杉はそっと唇を重ねた。
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「……これで同じだろ」
フッと笑みを浮かべながら、高杉は言った。
「兄者にこんなとこ見られたら……」
「いいじゃねぇか。銀時がどんな顔するか、見ものだぜ」
「……バカ」
不機嫌そうに目をそらす双葉の頬は、ほんのりと赤くなっていた。それが彼女の答えであり、高杉も素直に喜んだ。
そして二人はもう一度見つめ合い、互いの唇を交わした。
……とここで終わっていたら二人にとって甘い思い出になるのだが、話はまだ続く。
「やたら熱い思うたら火元はここでっか」
突然割りこんできた声によって、二度目のキスは直前で中断された。
驚いた二人が振り向く先には、顎に両手を添えてにんまりと微笑み寝転がる少年がいた
「い、岩田!?」
「ワイにかまわず続けてええで〜。せやけど一歩先越されてもうたな〜」
悔しそうに、しかし愛嬌のある笑みは崩さないまま岩田は立ち上がって二人に歩み寄る。
「ワイも双葉はん好きやのに。高杉はん、抜駆けはズルイでっせ。てなわけで、双葉はん」
急に真面目な顔つきになり、岩田は両肩を掴んで双葉を自分に向かわせる。
「ここは同等
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