第2話「ポジティブシンキングな奴ほどよく笑う」
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は、『過激思想家』と釘打たれ幕府に囚われてしまった。おそらく子供に反乱思想を刷りこませる危険分子とみなしたのだろう。
無論、『反乱思想』など幕府と天人の勝手な思い込みだ。しかし奴らは小さな異分子すら許そうとしない。だが吉田松陽が処刑されたとはまだ聞いていない。どこかの牢獄の中で生きているはずだ。
恩師を取り戻すため、銀時と高杉と桂を中心に寺子屋の少年たちは立ち上がった。
だが戦うたびに仲間の墓は増えていく。骨さえ拾われず墓がないまま終わる侍もいる。
そんな望まない最期を仕向けたのは、『星』からやってきた天人だ。
奴らには憎む気持ちしかない。殺してやりたいほどの。
なのに――
「なのに今でも星はキレイだと思ってしまうんだ」
幼い頃から見てきたせいだろうか。
それとも、昔と変わらない輝きのせいだろうか。
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「納得いかねェか」
「さあな。……でも嫌いじゃない」
双葉は夜空の星を見据え続けた。
口に出していないが、おそらく落ち着くのだろう。
満天に広がる星空の美しさには、心が癒される。戦いで疲れた心身を休めるにはうってつけだ。
しかし双葉の表情は硬いままである。
「こんな時ぐらい髪下ろしたらどうだ」
後ろ一つに束ねられた銀髪を見ながら高杉は言った。
戦うようになってから、双葉は腰まである長い銀髪を一つに縛るようになったのだ。戦闘の邪魔にならないのもあるが、それが彼女の覚悟の表れなのだろう。
だが高杉には、彼女が自分自身を何かに縛っているようにも見えた。
「気を抜く暇はない」
「俺は下ろしてる方が好きだぜ」
そう言われても双葉は髪を下ろす素振りをみせない。
一度決めたら断固として崩さないのは昔からだ。意思が強いと言えば聞こえはいいが、心の許しを与えない我慢は毒にしかならない。それは肉体より精神的に影響を与える。
本人もそのことは分かっているはず。だが、彼女の意思は変わらなかった。
「悪いがお前の好みに付き合うつもりはない」
「その方がお前らしいぜ」
「これが今の私だ」
拒むように受け流すが、双葉は気づいていた。
戦いに明け暮れ疲れている身体をせめて今は休めるように、それとなく高杉は促しているのだと。その気遣いはとても嬉しい。けれど、受け入れることはできない。
戦争で傷ついているのは皆も同じだ。兄達はこの苦しみに耐えているのに、ここで一人彼の優しさに甘えるわけにはいかない。
「だったら肩の力くらい抜けよ」
「油断して奇襲されたらどうする」
「安心しろ。そしたら俺が護ってやるよ」
「私を護る?馬鹿にするな」
引き締まった表情をさらに強めて、双葉は立ち上がった。
「私はもう護られてばかりじゃない。私は戦うと決めた」
持
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