第2話「ポジティブシンキングな奴ほどよく笑う」
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目も合わせず面倒くさそうに言う銀時に対して、岩田は嬉しそうに笑って頷いた。
明るく陽気な性格の岩田は堅苦しいイメージのある『侍』としては実に程遠い人間だ。そんな能天気なところは天然バカの坂本に似ている。事実彼とは気が合うらしく、いつもつるんで酒を飲んでいた。
誰とも気軽に接する岩田だが、特に双葉によくちょっかいを出し、そして彼女の兄である銀時にも絡むことが多かった。
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「俺にゃ妹しかいねーよ。てめーに『お義兄さん』呼ばわりされる覚えはねぇ」
「だってほら、近い将来ワイのお義兄さんになりまっしゃろから、慣れておきまへんと」
勝手な未来予想図を語り出す岩田に、銀時は不機嫌な目を向けた。
「誰がオメーみてぇな図々しい奴に妹やっか」
「かまへん。いざとなりよったら駆け落ちしまっから」
「おい誰か。コイツにメテオかましてくれ」
ジロリと銀時に睨まれるが、岩田は笑って返す。
「冗談ですわ〜お義兄さん」
「だァから『お義兄さん』って呼ぶな」
そう言われ岩田はしばし考える素振りをして。
「ほな、お義兄ちゃんで」
「キモイわ!黙れこのハゲ!!」
「失礼やな〜。ワイはハゲちゃいまっせ。ちょいと髪がペッタンコなだけや」
「それハゲの兆候だ。薄い未来しか見えねーな」
「せやな、ワイと双葉はんとお義兄さんが仲良うごはん食べとる未来しか見えへんな〜」
「都合良く未来書き換えんな!人の話聞けェ!!」
にんまりした岩田の笑顔とは裏腹に、銀時の怒鳴り声が部屋に響いた。
* * *
夜の草むらで、双葉は空を眺めていた。
「お前も乙女だな」
「悪いか」
「いや」
無愛想に答える双葉に苦笑して、高杉は隣に座った。
普段は鋭い目つきで刀を手に戦いへ身を投じているが、やはり根は『女』だ。夜空を見上げる姿はそこらの女性と何ら大差ない。
ただ一つ違うのは、瞳に複雑な想いが潜んでいることだ。
「天人達はあの星からやって来たんだったな」
しばしの沈黙の後、夜空に散らばる光を見つめながら双葉は言う。
「そうだな」と、高杉も同じように空を見上げた。
子供の頃はよく草むらに寝転がって、みんなと夜空を眺めたものだ。
幼い瞳に映る夜空の星は、とてもキレイに輝いていた。
いや、それは今も変わらない。
「知ってるか?流星に願いを唱えると叶うそうだ」
「女が考えそうなことだな」
高杉は溜息混じりに呟いたが、続く彼女の言葉にはそんな生やさしい『夢』などないものだった。
「けど、そう言われた『星』から来た奴らは……私たちの大切な人を奪っていったよ」
誰のことを言っているのか、高杉は考えるまでもなかった。
吉田松陽。
寺子屋で自分達に学びを教えていた彼
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