四十八話:約束の地、呪われた宿命
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マクスバードに着いたルドガーだったが、まだ、他の仲間は来ていないようで、エルがポツンと堤防で、膝を抱えていた。ルルがエルの側にいて、時々気遣うようにルドガーを見ている。ルドガーは声を掛けたいが、自分が何かしたら逆効果だと思いエルを見つめる事しか出来ない。そんなところに仲間が揃ってやって来た。複雑そうな顔をしてルドガーとエルを見る仲間だったが、レイアとエリーゼが頷いてエルの側に行く。
『事情はローエンから聞いた』
『元気だせ……って言っても無理かもだけどさ』
ルドガーを気遣うガイアスとアルヴィンにルドガーは気にするなといった感じに首を振る。
そんな時タイミング悪く、GHSが鳴った。メールだったらしく、内容は『到着を確認。カナンの道標を五芒星形に並べよ』というものだった。GHSを閉じて、ルドガーが視線の感じる方へ目を向ければ、柱の陰からこちらの様子を伺っている男がいた。
『動きが筒抜けで、嫌な感じね』
ミュゼのそんな言葉に黒歌達も見られているはずがないとわかっていながらも嫌な気分になる。監視されているという事は信用されていないという事でもあるのだ。良い気がするはずがない。
『ごぼーせー……?』
いつの間にかルドガーの隣に来ていたエルが聞きなれない言葉に首を傾げていた。そんな子供らしい様子に見ていた黒歌達の顔は少しだけ明るくなる。
『道標を並べてどうするんだろ?』
『カナンの地への地図でも表示されるのでしょうか?』
『やってみるといい。それはエルとルドガーが集めたものだろう』
エルはミラの言葉に頷き、ルドガーに五芒星形とはどういう形なのかと目で問いかける。ルドガーはそれに対して星の形だと言って、道標を並べていく。そして最後の道標―――エルのパパの道標をエルが置くと光が溢れ、文様が浮かび上がる。
『ルドガー、星!』
その様子に目を輝かせていつもの様にアイボーであるルドガーに声を掛けるエル。そんないつもの調子で笑いかけたエルにルドガーもいつもの様に微笑み返す。だが、エルは何かを思い出したかのようにその表情をすぐに曇らせる。小猫はその様子からやはり、エルの心の傷は大きいのだと察する。その間に道標が眩しいくらいの光を放ち、五つの道標は一つとなって宙に浮かぶ。
『ルドガー……ルドガーは、パパと同じ人なんだよね……?』
違うと黒歌はエルに言いたかった。だが、それが届くことは無いのを思い出すと同時にこれは二人の問題なのだと思い直す。
『パパと一緒で……ニセ物のエルはいらないって思う?』
違う、ルドガーはそう叫びたかった。だが、その言葉は彼の口からは出て来なかった。彼は今まで分史世界を壊し続けてきた。そんな自分が言った
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