四十八話:約束の地、呪われた宿命
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をする。
『本日付けで辞令がおりています。今日からルドガー様は副社長に就任です。社長がお戻りになるまで、社長室を使っていただくよう承っております』
そしていきなり副社長になったことにいぶかしがりながらもルドガー達が社長室に行くとビズリーの姿はなく代わりにモニターとヴェルとリドウ、そして複数のエージェントが待っていた。
『社長からのメッセージがございます』
そう言ってヴェルがモニターをつけるとビズリーが映し出された。
〔ルドガー。私はカナンの地で行われるオリジンの審判に決着をつけるつもりだ。お前には真相を伝えよう。分史世界とカナンの地を巡る一連の事件は、クロノス、マクスウェル、オリジン、原初の三霊が仕組んだゲームだ〕
ゲームだと軽くは言ってはいるが、ビズリーの言い方には確かな皮肉と、恨みがあった。そしてそこにリドウが、ことは、人間が黒匣を生み出した二千年前に遡ると口を挟んでくる。リドウの話し方にも若干ではあるが間違いなく恨みが籠っていた。
〔人が、黒匣を制御出来るかどうかをめぐって対立した三霊達は、人間にその本質を問う試練を課したのだ。人間が、己が魂の業――欲望を制せるか否かを賭けて、な〕
そう話すモニターの中のビズリーに再びリドウが、まだマクスウェルが人間を信じていた頃、断界殻を作る前の話だと口を挟んでくる。その言葉にマクスウェルであるミラは骸殻とは何かに気づき、思わず前に進み出る。黒歌達はその試練を随分と曖昧な定義だと思うがそもそも人の本質など元々曖昧な物だと思い直す。
〔骸殻とは、欲望制御のバロメーターとしてクロノスが一族に与えた力だった。時歪の因子が百万に達する前に大精霊オリジンの元に辿り着ければよし。失敗すれば、精霊は人間を見限るという契約でな〕
人間との契約というより、クルスニク一族との契約だとイッセーは思い。最早、クルスニク一族に生まれた人間に対する嫌がらせにしか思えなかった。
『だが、この審判には罠が仕掛けられていた』
驚きを隠せないルドガーの前に待っていました、とばかりにリドウが再び口を挟む。その余りのタイミングの良さに黒歌達は、リドウはあらかじめこの映像を見てどこで言葉を挟むかを考えていたのではないのかと思ってしまう。
〔オリジンの元に最初に辿り着いた人間は、願いを一つ叶えることが出来る。この条件が人の欲望を増大させ、一族は醜い対立と競争を繰り返すことになった〕
『その結果、時歪の因子と分史世界はネズミ算式に増え続けたのです』
ビズリーの言葉にそう続けるヴェル。黒歌達はクロノスがなぜ人間をあそこまで醜悪と言って毛嫌いしていたのかの一
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