四十八話:約束の地、呪われた宿命
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った一つの命、無駄に捨てるな』
『ビズリー・カルシ・バクー』
その男とはビズリーである。ヴィクトルが見せたような高速移動で二人の前に立ったビズリーに対して面識があるのかクロノスがその名前を呟く。黒歌達はその姿に複雑な思いを抱く。ヴィクトルとルドガーが同じという事は、ビズリーはルドガーとユリウスの父親なのである。しかし、今までのユリウスの態度から見るに明らかに家族関係が複雑なのが分かる。
『カナンの地に入る方法なら、私が知っている。―――――――だろう?』
その声はクロノスとエルにしか聞こえなかったがクロノスはまさか、知られているとは思っていなかったのか顔を怒りで歪める。そしてエルはその顔を驚愕と恐怖の表情に変える。そんなエルの様子に黒歌達は気になったもののビズリーの言葉が聞こえなかったためにその真実を知ることは出来なかった。
『最後のカナンの道標、最強の骸殻能力者は分史世界で手に入れて来た。この世界にはまだ、残っているぞ』
そう言って一瞬だけフル骸殻を発動するビズリー。そこで朱乃は何故、ビズリーが嘘をついていたかを悟る。自分が道標だったために真実を伝えるわけにはいかなかったのだ。その為に狡猾にルドガー達を騙してきたのだ。
『私とクルスニクの鍵、同時に相手をしてみるか?』
その言葉にユリウスがなぜ、未だに嘘をついてルドガーを危険な目に合わせるのかとばかりに、口にするが次の瞬間にはルドガーはクロノスに吹き飛ばされてしまう。そして空間転移の術でルドガーを飛ばそうとするがそこにユリウスが飛び込みクロノスと共に吹き飛びルドガーを守る。
『……残り少ない力で無茶をする』
そんな姿をビズリーは何とも言えない表情で見送るがそれ以上は何も言わない。そしてルドガー達がビズリーにカナンの地への行き方を問いただすがエルがどういうわけかそれを言われることを恐れて叫び声を上げる。
『行かなくていい! カナンの地なんて行かなくていいよっ!』
そんなエルの様子に仲間達が声を掛けるがエルは絶対に行かないと意志を強くして叫び続ける。そんなエルに対してルドガーはエルの時計を手に取ってよく目に見える様にエルの目の前に持っていく。
『約束しただろ、エル』
『一緒にカナンの地に行くって約束……や、約束なんて……どうでもいいし』
『どうでもよくないだろ!』
ルドガーが叫ぶがエルはなおも拒否し続けてしまいにはどこかに行ってしまう。そんな様子に黒歌達は、エルはルドガーを守ろうとしているのではないかと、黒歌を守る為に離れたルドガーの事を思いながら考える。
『あの娘の言う通りだ。お前は、もう骸殻能力を使う必要はない』
『……用済みってわけか?』
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