四十八話:約束の地、呪われた宿命
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る。そしてルドガー達は無事に外に脱出することに成功する。そしてジュードはうまく逃げられただろうかと案じている所にルドガーのGHSが鳴る。
『俺だ。無事か、ルドガー?』
『ああ。カナンの地に行くまでは死ねないよ』
その言葉は何気ない物だった。しかし、その言葉はユリウスにある残酷な決心をさせてしまうものだったとはその時ルドガーは夢にも思わなかった。どうしても行く気なのかとユリウスはルドガーに問いかけ、ルドガーもそれに肯定する。
『こうなったら、ひかないよな、お前は……わかった。全てを話そう』
優しい、穏やかな声でルドガーに語り掛けるユリウス。そんな声にルドガーは何も考えずに安心していた。それが兄との最後の会話になるかもしれないのに。
『俺はトリグラフにいる。ジュードも一緒だ』
それだけ言い残してユリウスは電話を切る。そして、ジュードと合流するためにトリグラフへと向かうことにする。トリグラフの自宅マンション前に戻ったルドガー達をジュードが出迎えてくれたがその顔はこの上なく暗かった。そんな様子に気づくこともなくルドガーは兄の姿を探す、全部が落ち着いたら、今までのお礼も兼ねて大好きなトマト料理をたくさん食べさせてあげようとそんな呑気な事を考えながら……。
『ユリウスさんは……いない。伝言を頼まれたんだ。……決心がついたら、来いって』
『決心? なんのことだ?』
ジュードの言葉にルドガーが不思議そうに尋ねる。その時、黒歌達の頭に嫌な予感がよぎる。そしてジュードはカナンの地に入る方法をユリウスに教わったと言う。入るには“魂の橋”なるものを架けなくてならないというのだ。そして、その橋を架ける方法は―――
『……強い力をもったクルスニクの一族の命を―――ひとつ生贄にすること』
『生…贄…?』
『つまり、ルドガーかユリウスを―――殺せばってこと?』
ミュゼの言葉にルドガーの顔が絶望に染まる。黒歌達も余りに残酷な条件に言葉が出ない。ルドガーは自分あての手紙が部屋にあることを知ると一目散に駆け出していく。その後ろ姿を見つめながら、黒歌はどうして彼ばかりがこんなにひどい目にあうのだと涙を流して己の無力さを噛みしめる事しか出来なかった。部屋に戻りユリウスの手紙らしき物を乱雑に掴み取り荒い息のまま目を通すルドガー。
【俺の弟、ルドガーへ】
ビズリーはエル……”鍵”の力を手にした。こうなった以上、選択肢はない。カナンの地へ入るには、強い力をもったクルスニク一族の命が必要。命と引き替えに、魂の橋を架けることが最後の試練なのだ。俺は、マクスバード、リーゼ港で待っている。覚悟が決まったら来い。
【兄、ユリウスより】
『なんだよ……なんだよ!
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