四十八話:約束の地、呪われた宿命
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ところでその言葉に説得力はあるのかと彼は思いとどまってしまう。
イッセーはヴィクトルのせいでエルが苦しんでいることが悲しかった。ヴィクトルの言い方ではエルに誤解されても仕方がないが、ヴィクトルの過去を見たためにヴィクトルが間違いなくエルを愛していた事とそれしか方法がなかったことを知ったためにヴィクトルを責める気にはなれなかった。そんな時だった。
『ルドガー、あれ!』
声を上げたジュードが指差したのは、空。全員が空を見上げると空が黒く染まる。そして二つの月が重なり合い、その中央が目の形に割れる。まるでギロリと睨まれたような気がして思わず、ギャスパーが身震いをする。
『ミラ!』
『オリジンめ、あんなところに隠していたとは!』
ミュゼがミラに話しかけるとミラは苦々しげにそう吐き捨てる。黒く染まった球体から胎児の姿が映し出される。その余りの不気味さにエルがカナンの地、と嘘であって欲しいというように叫ぶ。そんな様子にアルヴィンも同意するがミラが、あれがカナンの地だと断言する。黒歌達もあんな不気味な地が、願いをなんでも叶える土地だとは思えない為に何とも言えない表情で見上げる事しか出来ない。
『道標が、カナンの地を出現させるものだったとはな』
『ですが、どうやってあそこに?』
ガイアスの呟きにローエンが全員に問いかける。するとティポがミュゼに打ち落としてもらえばと言ったが本人からか弱い乙女になんてことをなどという、どこがか弱いんだというツッコミが入りそうなセリフにより却下されてしまう。因みにゼノヴィアがその案がいいなと思っていたのはどうでもいいことであろう。
『空中戦艦なら!』
『無駄だ。近づくだけでは中に入れん』
レイアが比較的まともな案を出したと思った時、後ろから聞き覚えのある男の声が聞こえてくる。その声に反射的に振り返ったルドガー達の目の前には宙に浮かびルドガー達を見下ろす大精霊がいた。
『「クロノス!」』
その姿に思わずジュードとイッセーが同時に叫び声を上げてしまう。この二人似ていない様で意外と似ている所が多いのである。そしてクロノスの腕には無造作に持たれたユリウスがいた。その事に声上げるルドガーだったが、クロノスはそれに対して特に反応も示さずに言葉を続ける。
『まさか道標を揃えるとは。探索者の相手をしている場合ではなかったな』
クロノスがユリウスを乱雑に放り投げ、ユリウスは地面に痛々しく叩きつけられる。それを心配して駆けつけようとするルドガーだったがユリウスが勝ち目はないと言い。ルドガーを逃がすために骸殻を使ってクロノスと戦おうとするが時計を取ろうとしたところでクロノスの剣の様な足で手を突き刺されてしまう。
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