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科学と魔術の輪廻転生
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やっぱりて何だやっぱりて。
 というか怖いな。
 異世界に転生したのが俺だとすると、母さんは異世界にトリップしているらしい。
 取り敢えず戻って来させるために、俺は首を傾げながら、

「コレよんでー?」

 と、聞こえてますかー? のニュアンスも込めてもう一度聞いた。
 それと同時に母さんの目の前で手を軽く振る。
 少しハイハイのバランスが崩れかけるが、立て直す。
 母さんは俺の言葉で異世界から帰って来たようだ。

「えあっ?
 あ、うん。
 でも夜に読み聞かせしてあげるから、それまで待っててね」

「ありがとぉ」

 よし、文字を読めるようになって、魔術を使うぞ!
 ……あれ?
 でもこれって母さんから詠唱の読みを教えてもらえば良くないか?

 ちなみに母さんは治癒魔術しか使えないらしい。
 そして詠唱もそれしか知らないと言っていた。

 取り敢えず、それだけでも詠唱してみるか。
 俺は誰もいない時に、ベッドの上で詠唱してみることにした。

 えっと、たしか、こうだったっけか?
 一年以上前のことだから、忘れてるかもな。
 俺はベッドの上に座り、両手を掲げた。
 詠唱。

『傷付きしものに聖なる力を分け与えん。回復(ヒーリング)


 ……。


 うんともすんとも言わない。
 なんでだ?
 これじゃ何か詠唱してみた俺が馬鹿みたいじゃないか。

 少し考えてみる。そしてその答えはすぐに思い当たった。

 あ、馬鹿だ。
 発動する相手が居ないじゃん。
 普通の魔術ならどこかを狙えば良いけど、治癒魔術はどこか怪我している部分がないと使えないよな。

 しょうがない。

 俺は少し生えてきた乳歯とか爪で四苦八苦し、なんとか右手の親指の付け根にかすり傷を付けることに成功した。

 よし、もう一度。


『傷付きしものに聖なる力を分け与えん。回復(ヒーリング)

 指の痛みは消えない。
 ……どうやら、失敗のようだ。
 訳が分からない。

 うーん。
 魔力が足りないとかそんな感じなのか?
 でも、それにしては何にも感じられない。
 普通こういう時って危機的信号とかがでたりすると思うんだが。

 やっぱり何か手順を踏まないといけないのかな?
 それか詠唱がどこか間違ってたとか。
 いや、間違ってはないはず。
 じゃあ、もしかして、才能の類か?
 俺は治癒魔術は使えない、とか。
 うん、それが今一番高い可能性だ。
 やっぱり何も知らないで魔術を使うのはダメだ、ということか。

 そうは言っても、結局俺には治癒魔術が使えないらしい、ということが分かった。
 取り敢えず、今は保留だな。
 当面は文字の習得を目指そう。
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