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エクシリアmore −過ちを犯したからこそ足掻くRPG−
最終話 孵るセカイ
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道標。
 よかった。間に合った。これで〈ミラたち〉の悲劇も回避できる。

 体が透けて消えていく。光が降り注ぐでも、荘厳なファンファーレが鳴り響くでもない。これくらい呆気ないほうが、私にはちょうどいい。

 フェイをふり返る。私と同じように、全身が少しずつ透けて消えていっている。

「先に行く」
「うん。すぐ行く」

 返されたのは、まぎれもない笑顔。私だけに向けられた。

 ああ、呆気ないなんてことはなかった。最高の終わり方じゃないか――――… … ……





/Fay

 パパ、先に行っちゃった。

 ユティちゃんは、パパだった〈道標〉を懐に入れて、パパが立ってたとこに落ちた二つの〈道標〉も拾い上げた。

 みんな悲しくさせちゃったね。ごめんね。でも、わたしも行かなくちゃ。ジランドさんが言った通り、それがルールだから。

「アル。前にわたしのこと、大人だって言ってくれたこと、あったよね。今のわたし、どうかな? ちゃんとホントのオトナになれたかな?」
「っ――ああ。今のお前、最っ高に立派だよ」

 よかった。これでアルが言ってくれたこと、ウソにせずにすんだ。

「ユティちゃん。ゴメンね、辛い役させちゃって」
「……『オリジンの審判』は必ず超える」

 強く〈道標〉を握り締めるユースティア。うん、あなたならきっとダイジョウブ。あなたにはアルも、ジランドさんもセルシウスも付いてるもんね。「今度」は独りじゃないもんね。

 あと心配なことって言ったら……うん。念のため。オネガイしておこ。

「クレインさま、ローエン」
「はい」
「……何だい?」
「エレンピオスには〈妖精〉がいるの。大きすぎる力のせいで、籠の中のウサギになった本物の〈妖精〉」
「それは向こう側にいるという、もう一人のフェイさんのことですか?」
「正解。さすがローエン」

 二人の前まで歩いて行く。

「きっと向こうのフェイは、非力で独りぼっちの女の子だから、正しいこと、人に優しくすること、教えてあげて? ほっとくと本当、ダメな子にしかなれないから」
「――分かった、必ず」
「約束します。きっともう一人のフェイさんを見つけてみせます」

 ローエンと、指切り。それに、クレインさま、と、も……

「フェイ?」

 ああ、だめだ。これ以上近寄ったら、泣いちゃう。

 出会わなきゃよかったなんて絶対に言わない。フェイリオ・メル・マータが見つけた恋。パパでもない、ルドガーでもない、ジュードでもない。愛しい人。
 出会えてよかった。一緒にいられてよかった。好きになれてよかった。

 でも一つだけ心残りがある。
 クレインさまが正史のフェイを好きになっちゃったらどうしようって。

 
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