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エクシリアmore −過ちを犯したからこそ足掻くRPG−
挿話 私のはじめての家族
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 マクスウェルの体が光となって消えていった。

 星空が消え、青空が世精ノ途(ウルスカーラ)に広がる。世精ノ途(ウルスカーラ)だけではない。ここから見晴るかす全ての地に、マナの雪が降りしきる。
 見渡す限りの、青い世界。ああ、何ていとしいんだろう。

「イバル。最後の命令だ。私の隣に」
「は、はいっ」

 隣に立ったイバルの手を握る。そんなに驚いた顔をするな。いくら私でも傷つくぞ。

「よくよく心に刻め。これが私が護ってゆく新しい世界だ。光に、雨に、風に。姿はなくとも、私はいる。お前と人を、未来まで見守っているよ」

 ふわりと浮かぶ。ミュゼが呼んでいる。私も精霊界に行かねば。だが、イバルの手を離しがたくて、つい手を繋いだまま浮いてしまった。

 イバルの手。私の髪を梳き、私の傷を手当てし、私を守ろうとして剣を握った手。ああ、久しく手を繋いでなかったから忘れていた。

 私の、もう一人の、はじめての、家族。

 私は今、ちゃんと笑えている?

「いってきます」

 手を離したイバルが笑い返してくれたから、きっと、ちゃんと笑えていたんだと思いたい。
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