第3話 戦う意味
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く分かった」
「―――――!それじゃ……!」
「だが一つだけ約束してくれ。自分から死ぬような選択はしないでほしいんだ」
お父さんはさっきとは違う悲しそうで辛そうな表情で僕にそう言った。
「お前は俺にとって血は繋がっていないが大切な息子なんだ、もしお前に何かあったら俺はきっと立ち直れなくなっちまう。だから自分から死ぬような選択はしないでほしいんだ。俺の心を守るために」
「……分かった。僕は死なないよ、お父さんを悲しませたくないから」
「そしてもう一つだけ約束してほしい、優しさを捨てないでほしいんだ」
「優しさを……?」
お父さんの口から出たのは優しさという意外な言葉だった。
「お前の言う通りこの世界は綺麗事ですまない事もある、殺さなければならない糞野郎もいるのも確かだ。でもな、その手段だけは安易に選ばないんでほしいんだ。優しさを捨てちまった強さは唯の殺戮だ、猟兵以下の化け物になっちまう。仮にその選択を迫られたとしても最後の最後まで悩んで殺す手段を選んだとしても命を軽んじるようなことはしないでくれ」
お父さんの目には少しだけ悲しさと後悔の色が浮かんでいた。もしかしたらお父さんも僕と同じように大切な人を失った過去があるのかもしれない。じゃなきゃこんな優しい言葉をかけてくれるはずがないもん。
「……うん、分かった。絶対に命を軽んじたりしないよ……その、さっきはごめんね。お父さんの言う通りちょっとだけヤケになってたと思うんだ」
お父さんに諭されて頭が冷えた僕はさっきまで戦って死んでもいいと思っていた事を恥じた。
「俺の方こそごめんな、お前の大切な子を守ってやれなかった。お前にそんな選択をさせちまった俺は親として失格だ」
「お父さん……」
「ならせめてもの償いとしてお前の力になろう」
お父さんはクシャリと僕の髪を撫でてくれた。
「お前にはこれから先猟兵としての特訓を受けてもらう、死んだほうがマシと思うくらい厳しくいくからな。一回でも弱音を吐いたりしたら猟兵にはさせん、心していろ」
「???はいッ!」
「よしそれじゃ行くぞ、いつまでもここにはいられないからな」
僕達は花畑を後にした。
(エレナ、僕は行くよ。もう君のような悲劇は起こさせないために強くなる……だからエレナ、空の女神様の元で見守っていてくれ)
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