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英雄伝説〜西風の絶剣〜
第3話 戦う意味
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 僕はエレナを抱きかかえる、エレナの胸から血がダクダクと流れ僕の手が赤く濡れていく。


「小娘が、邪魔をしやがって」
「お、お前は破滅の刃の……どうして」
「あやうく気を失うところだったが爪が甘かったな」


 どうやら気を失ったフリをして隙をうかがっていたようだ。奴が持つ銃から弾薬の匂いがする。


「お前がエレナを……!」
「ここまでコケにされたのは生まれて始めてだ、まさかこんなガキにここまでやられるとは……こうなったらもはや人質など関係ない、お前ら二人とも殺してやる」
「お前、僕の捕獲が目的じゃなかったのか?」
「もはや作戦続行などできぬ、俺はここでオサラバさせてもらおう」
「なッ!?自分の団員を見捨てるというのか!」


 僕は奴の言葉に驚きを隠せなかった、自分の仲間を見捨てるとこの男は言ったからだ。


「どのみち破滅の刃は御終いだろう。だが俺さえ生きていれば団などまた作れる、お前らさえ殺してしまえばルトガーに今回のことがバレたりはしない」
「だけどお前の陽動部隊がいる、彼らがこのことを吐けばお父さんは決してお前を許さないぞ!」
「問題ない、奴らには今回の作戦は伝えていない、別の作戦として伝えているからな」
「最初から捨て駒にするつもりだったのか!」


 なんて奴だ、仲間を……家族を道具のように使うなんて……西風の皆は決してしない行動をコイツはいとも容易くしようとしているのか!


「今回の作戦が成功したなら俺の名は更に売れるが負けたならリスクはデカイ。相手は〈猟兵王〉だからな、万が一負けた時の保険は必要だろう」
「自分の仲間をそんなことに使うな!それでも猟兵か!」
「なんとでも言うがいい。陽動部隊も限界だろう、そろそろオサラバさせてもらおうか」


 男はあざ笑うように銃口を僕に向けた。


「くそっ、こんな奴に……!」
「クラウゼルを殺れなかったのは残念だがまあお前を殺せば奴は絶望するだろう、愉快なことだ」
「お父さん……皆……ごめんなさい……」
「じゃあな」


 クソッ、こんな所で死ぬなんて……


 目を閉じて死を待つがいつまでたっても銃弾が飛んでこない、恐る恐る目を開けるとそこには自身の右腕が地面に落ちてそれを唖然とした様子で見ている男の姿だった。


「……はッ?」


 僕ですら状況が読めない、腕を斬られた男も一瞬理解が出来なかったんだろう。だが自分の腕が地面に落ちたということは……


「―――――!?ギャァァァァァァァァァァッ!!!!!」


 脳がそれを認識した瞬間想像を絶する痛みが男を襲ったんだろう。訳が分からない、何が起きたんだ?


「よお、俺を呼んだか?」
「!!……そ、そんな馬鹿な
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