第3話 戦う意味
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僕の意識が戻り周りを見てみると破滅の刃の猟兵達が地に伏せていた。腕から血を流す者、何かの爆発に巻き込まれたのか足が吹き飛んだ者……うッ!?
「うぶ、おぇぇぇぇぇッ!!」
凄まじい不快感が体中に走り思わず嘔吐してしまった。何となくだけど覚えてる、自分が自分じゃないみたいになって……人を傷つけた……!!
「おえええッ!……はぁ、はぁ……僕が人を……」
意識がはっきりしてなかったとはいえこの手にはっきり残っている、人を切り裂いた感触が…震える体で呼吸を落ち着かせようとするが……
「……リィン」
「!?エ、エレナ……」
エレナに声をかけられ僕は狼狽した、先ほど最悪の形でバレた自分の正体…こんな事が起きたのだ、きっと嫌われただろう。
「エレナ、僕は君に本当のことが言えなかった。僕は君に嫌われるのが怖かったんだ、誤っても許してはもらえないと思う。でも本当にごめん……」
「……薄々だけど分かってた」
「えっ?」
「狼の魔獣を倒したときもさっきの猟兵の気をそらした時も貴方は何だか場慣れしているように感じたの」
「あ……」
僕は確かに場慣れしているためそこまで慌てたことはなかった、だがまだ年端もいかない子供が魔獣との戦いに慣れていたり、戦場でも落ち着いているのを見れば誰が見ても異常だろう。
「……でもそんなの気にしなかったわ」
「!?」
「だって貴方はあの時の猟兵とは違うじゃない。貴方は私を支えてくれたわ、そんな傷を負ってまで……そんな優しい貴方を嫌いになんてなれる訳ないじゃない。貴方は大切な友達なんだから」
「エレナ……」
……何だ、もっと早く話しておけば良かった。そんな後悔が心に浮かんだ、でもそれ以上に嬉しかった。たとえ猟兵と知っても自分を受け入れてくれたから……
「うぅ……」
「リィン!」
僕はフラフラとその場に膝を付く、よく分からない自身の力を使ったため身体がかなり消耗してしまったようだ。
「リィン、大丈夫?」
「ちょっと無茶しすぎたみたいだ、動けそうにないや……」
「肩を貸すわ、ほら掴まって」
エレナが僕に肩をかして立ち上がる。
「ごめん、迷惑かけて……」
「気にしないで、今度は私が貴方を助ける番よ」
「エレナ……」
「頑張りましょう、二人で生きぬくんだからね」
「……うん!」
そして僕達が歩き出そうとした。が……
「―――!危ないリィン!」
「……えっ」
ダァンッ!
エレナが僕を突き飛ばす、その時銃声が響いた。するとエレナの胸に赤い染みが浮かび上がりそこから血が流れる。
「リィン……」
「エレナぁ!?」
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