【東方Project】編
072 ある日、山の中 その2
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俺は別にIQ──知能指数は179も無いぞ」
妹紅から開口一番のセリフである。妹紅のあんまりな言葉に思わずネタが飛び出したのも仕方が無い。……いつだって世界は理不尽である。
………。
……。
…。
「ごめんなさいっ! 私から抱き付いてたのに…っ!」
「何、気にする事は無い」
「あの、シン──さんは修行の為に山籠りしてるんですよね?」
「ん? ああ、そうだな。……あぁ、それと呼びにくいなら敬称は良いし敬語も無くて構わない」
「……判った」
どことなくチグハグな敬語に、そう断りを入れ、俺の提案を妹紅は了承した。。……パニックに陥っていた妹紅も5分もの間をあたふたとすれば落ち着き、今度は──妹紅≠ゥら抱き付いてきての醜態を謝罪してくる。妹紅にどこぞの空気王の様なノリで返せば、今度は何やら思い詰めた様な表情に何やら既視感めいたものを覚える。
(あっ、シホの時と同じなのか)
「私を強くして!」
そう頭を下げた妹紅を見た瞬間、既視感が現実のものとなった。……しかし、シホの時とは違う事もある。それはひとえに、鍛えるメリットが薄い──否、それどころか皆無と云っていい。シホの時とは違って、妹紅に知られたら拙い情報を握られているわけでも無い。
……升田 真人──俺の所在地をバラす…? 妹紅には偽名しか教えてあるので、シン(おれ)≠ェ升田 真人≠ナある事を、妹紅の独力では気付けない──或いは気付けたとしても、そこ至るまでには多大な労力が必要とされるだろう。
閑話休題。
「……どうしても殺したいやつが居るの」
妹紅を鍛えなければいけない理由≠ェ無いので返答に困っていると、妹紅がいきなり寝耳に水な事を言い出す。……その真意を問い質そうと、妹紅の目を覗き見てみる。妹紅の目の中には──
(おぉう、本気…?)
じっ、と妹紅の目を見てみるが、妹紅は目を逸らさず目を見返してくる。幼さを残す顔立ちだが、瞳には明確な殺意──と云うよりは怒気≠フ様なものが妹紅の瞳から感じ取れた。
……しかし、忘れてはならない事が有る。ここは、妖怪が跳梁跋扈している世界の富士山の中。そこで睨み合う青年(?)な俺と妹紅(少女)…=B……そう俯瞰してみると、中々にシュールな光景である。
「殺したいやつ>氛氓チて、またまた穏やかじゃないな。……とりあえず、話を聞かせてくれ」
「……判った」
そうシュールな光景を取り払うかの様に訊ねると、妹紅はぽつぽつと語りだした。
………。
……。
…。
妹紅が口を噤んだところ──“蓬莱の薬”を飲んで死
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