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普通だった少年の憑依&転移転生物語
【東方Project】編
072 ある日、山の中 その2
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けながら掻き込む。

「……普通だけど、美味しい…」

「うるさいよ。……て、泣くほどか?」

味は普通だけれど、食べる人の事が考えられている──そんな冷めてても暖かみ≠フある味だった。その味がじんじんと心に沁みていくのが判る。……シンの言葉に頬を指でなぞると、わずかばかり水気を感じる。どうやら、知らず知らずのうちに涙を流していたらしい。

(私は独りじゃない…っ!)

涙なんて既に枯れてると思った。……だが悲しいと云う理由でこの涙を流しているわけではなく…。間違いなく嬉し涙で、その事──誰かと一緒に居られるのが、何よりも嬉しかった。

「……この辺の安全は確保してあるし、ちょっくら1刻ほど席を外そうか──」

「ここに居て」

腰を上げようとしながら呟くシンを、そう矢継ぎ早に引き留める。……今はこの幸福感を噛み締めたかったから。

SIDE END

SIDE 升田 真人

なんか少女に懐かれた。……どうにも、この輝夜と同じ様な存在の少女の名前は藤原(ふじわらの) 妹紅(もこう)云うらしい。妹紅は焚き火を挟んで向かい合っていたが、いつの間にやら俺の隣を陣取っていた。……少しでも俺が動こうものならそれに追随するような始末。

(余程孤独≠ェ堪えたか…)

然もありなん。どういう経緯で“蓬莱の薬”を飲む事になったのかは判らないが、年の頃13〜15ほどの少女がこんな山中にいるのは贔屓目に言っても異常だし、人肌に飢えるのも判る。

(……まぁ、なるようになるか)

ちょうどその頃、夜の(とばり)落ちてきたので、妹紅たっての望みで、妹紅と一緒にテントに入るのだった。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

「……ぬ? ……ですよねぇ」

「すぅ…すぅ…」

圧迫感に目を醒ませば、目の前には妹紅の頭。……やはりと云うべきか抱き付かれていた。身動きを取ろうにも取れないので、なんとなしに妹紅のつむじを観察していると、妹紅がもぞもぞと動きだす。目覚めも近いらしい。

「……むぅ…。……ん、なに、これぇ〜?」

俺の予想通り、程無くして妹紅は俺の背中を擦りながら目を醒ます。妹紅は周囲を確認するためなのか、辺りをキョロキョロしだし──やがて俺と目が合う。……そしてこの状況を──妹紅(じぶん)(おとこ)に抱きついている≠ニ云う状態を察したのか、妹紅の顔は首の方から熟したリンゴの様な色に成っていき…

「……〜〜〜〜〜〜〜っ!?」

声にならない悲鳴──それを妹紅は顔を赤くしながら実演し、今度は口を金魚の様にパクパクとさせる。……間違いなく妹紅はパニックに陥っている。

「変態だーーーーーっ!?!」

「……取り敢えずちょっと待て。
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