6部分:第六章
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第六章
唯一つ違うのはそれが夜空の下にあるというだけである。だが月の優しい光に照らされたその村もまたよいものであった。むしろ月の光は太陽のそれよりも穏やかで心地よい。そちらの方がよいのではとさえ思える程であった。
そしてそれを一通り見た後で城に入る。厳しい顔をした衛兵達に挨拶をし中に入る。夜の静かな光が差し込むその中に人々がいる。夜であるがそこは昼とは変わりがなかった。
主もまた同じであった。ヴィーラントを快く出迎えた。そして部屋を与えてくれた。
主は茶色の濃い髭を顔中に生やしていた。威厳と気品を併せ持ち、豪奢な服を着ていた。その彼が与えられた部屋に下がろうとするヴィーラントとゴッドフリートに声をかけた。
「朝になりましたら。それでお別れですな」
「はい」
ヴィーラントはそれに頷く。
「ですがそれは昼だけのことで」
「縁がありましたらまた夜に」
「御会いしましょう」
そう挨拶を交あわせて部屋に入った。そのままベッドに入り休む。ベッドは昔ながらの椅子の様なベッドであった。ゴッドフリートはそこに背をついて休みに入った。ゴッドフリートは床に敷物をして眠ろうとしていた。
「朝になれば」
「ええ」
ゴッドフリートは月明かりの中主に応えた。
「それでお別れですね」
「そうだな。何かもう一日いたい気もするが」
「長居は流石に」
「わかっている。あまりにも図々しいからな」
そうした分別はあった。ヴィーラントは静かな顔で答えた。
「ではな。お休み」
「はい、お休みなさい」
主従は眠りに入った。それから醒めると。もう誰もいはしなかった。
二人の周りには誰もいなかった。それはもうわかっていたことなので騒ぎはしない。ただ黙って城を後にするだけであった。
当然ながら村にも誰もいない。だがヴィーラントはその誰もいない村の中を進みあの教会に向かった。そして中に入って一言こう言ったのであった。
「また、機会がありましたら」
それだけであった。だがそれだけで充分であった。一礼してから教会を後にする。そのまま二人で村も後にする。
「夜にも人がいるんですね」
村を離れてまた旅を再開する。その中でゴッドフリートは朝食の固いパンをかじりながらヴィーラントにこう言った。
「最初は何事かと驚きましたが」
「そうだな」
ヴィーラントは馬の上から彼に応える。彼もまた馬に乗りながらそのパンをかじっていた。これは二人が元々携行で持っていたパンである。
「だが実際話を聞いてみると」
「私等と変わりませんね」
「うむ」
従者のその言葉に頷く。
「ただどちらにいるかだけだ」
「ええ」
「夜にも。主はおわしたし」
「それも驚きでしたよ」
当時夜は悪魔の領分と考えられていた。夜の暗さが恐怖を呼び起こして
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