第3話Aパート『あなたが守った街で』
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きるだけ抑えたいところ。
そして、このように誰かに何かのイベントに誘われるという機会自体、ヒデオにはこの二年、無かったこと。
ヒキコモリ癖がついた自分には。こういう機会を逃すべきでは、ないのだろう。
「お言葉に、甘えて」
「…犯罪行為に走らないよう監視する意味も込めて、…参加させてもらいます」
二人の返答に、大家さんは満足そうにうんうんと頷いた。
◇ ◇ 3 ◇ ◇
そんなわけで、大家さんが運転する軽自動車で買い出しに出かけることになった。
助手席に美奈子、後ろの席にヒデオとウィル子。
「一番近いスーパーはここですニャ」
アパートを出て5分もしないところで、店を指し示す。がそこの駐車場には入らず。
「少し先のデパートに行きますニャ。生活必需品もついでに買ってくるといいですニャ」
たしかに抱えられるサイズの家電でも、徒歩で持ち帰るのはきついだろう。車のトランクに入れさせて貰えれば大分楽になる。
目的地に到着して、車を駐車場に入れる。『物産店マルホランド』、変わった店名だが四階建てほどのよくある百貨店である。
店内に入ったところでいったん、それぞれ必要なものを買い込みに散開した。
ひととおり必需品を購入して、チケットで支払いを済ませる。市内で広く利用されているという事前情報どおり、現金となんら変わらず。お釣りもチケットで返ってきた。
事前に落ち合うと決めていた場所に戻ると、大家さんは食材の買い込みを済ませていて、既に待っていた。
20歳ぐらい、ネコミミの女性が立っている訳で、結構周囲の注目を集めていたが気にした風も無く。
人通りの多いところでみると実は他にも、結構変わった格好をした者がちらほら。どうやら聖魔杯参加者と、聖魔杯関係者であるらしかった。
街中で全身甲冑が歩いていて職務質問とかされないのだろうか?そういえばこの街に来てから、ヒデオも職務質問はまだ受けていない。
少し遅れて美奈子が合流して。
「少し、寄るところがあるニャ」
そう言って車が向かったのは街の高台にある店だった。個人商店らしいがそれなりの大きさの酒屋。
日よけの布の奥、どうやら日本酒らしきビンが並んでいる。
「呑みたい銘柄とかあったら言ってくださいニャ。大抵手に入るはずですニャ」
いえ、飲酒経験が無いので。と返す。美奈子も同様のようで。
「じゃ、おススメのを見繕ってきますニャ」
慣れた様子で店内に入っていく大家さん。
もう夕暮れ時で、高台から見下ろした茜色に染まる街並みは、
工事中の防音防塵シートに包まれたビルがちらほら見られる、いまだ再開発中の都市。
センタービルのような高層ビルの数は少なく、大都市らしからぬ閑散とした風景に見えた。
一台の車がやって来
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